廃校活用 取り組み紹介 和歌山県田辺市で全国セミナー
「全国廃校活用セミナーin和歌山」(都市農山漁村交流活性化機構主催)がこのほど、和歌山県田辺市上秋津の秋津野ガルテンであった。地域づくりの関係者が集まり、高齢化や人口減少が進む中、廃校舎を活用して地域を活性化しようと取り組む各地の事例報告を聞いたり、意見交換したりした。 【廃校舎を現場工事の事務所に 高速「すさみ串本」、和歌山の記事はこちら】 機構は、2012年度から全国各地で廃校活用セミナーを開いている。今回で20回目。 初日は県内3カ所の取り組み事例の報告があった。一般社団法人「み・ゆーじ」(大阪府東大阪市)の末永将大代表理事は、白浜町の旧市鹿野小学校で取り組んでいる、障害者就労支援や訪問介護、廃校ホテルなどについて紹介。交流人口は少しずつ増えてきたといい、今後さらに、移住支援サービスとしての古民家活用事業、就職支援事業などを進めることで「限界集落は復活すると確信して活動している」と語った。 那智勝浦町の「交流センター太田の郷」の石田一事務局長は、旧太田中学校で食事処や直売所を開設したり、高齢者の予防介護、製パンやヨガなど各種ワークショップを開催したりするなどの取り組みを報告。直売所の出荷者や食事処のスタッフの高齢化が課題だとした。 有田川町の旧城山西小学校を活用して、移住就業支援拠点施設「しろにし」を展開する、一般社団法人しろにしの白川晶也理事による活動報告もあった。短期から長期滞在向けの居宅などを備える施設を運営し、ブドウ山椒の収穫ボランティアを外部から呼び込むなどしており、今後も移住につながる仕掛けをしていきたいと説明した。 和歌山大学経済学部教授で食農総合研究教育センター長の岸上光克さんや、ガルテンを運営する農業法人「秋津野」代表の木村則夫さんの講演もあった。 機構によると2002~20年度(21年5月現在)、全国の小中学校や高校などでの廃校の数は8580。そのうち施設が現存する廃校数は7398で、活用されているのは約7割、活用されていないのは約3割だった。活用用途は、教育や福祉・医療、企業などの施設、創業支援施設などが多い。
紀伊民報