【青葉賞回顧】レースセンス光ったシュガークン 好走ゾーンの幅に見た、兄キタサンブラックの面影
ショウナンラプンタにみる厩舎力
2着ショウナンラプンタは馬体重-10キロ。発汗もみられ、輸送の影響を感じた。向正面で壁を作れず、ムキになるなど、大敗してもおかしくないなか、2着確保は力の証といっていい。新馬から東京スポーツ杯2歳S、ホープフルSと結果は残せなかったが、近年の王道ローテを歩ませ、経験を積み、疲れをとって1勝クラスで一発回答と素質がないと乗りきれない道を通ってきただけある。 高野友和厩舎といえば、スタニングローズも似たような形で、オークス2着まできた。競馬を使いつつ、タイミングよく休養させ、心身を充実させる。そのさじ加減は光るものがある。クラシックへの道は長いようで短く、必ずしもストレートで進めるとは限らない。それだけに、メリハリあるローテーションを歩ませることは大切だ。ショウナンラプンタも2歳時の経験が3歳に結びつき、ダービーへの出走権確保につながった。 出走権を逃したが3着デュアルウィルダーは未勝利を勝ったばかりのキャリア3戦目だったことを考えると、健闘した。その未勝利戦は逃げて0秒8差の圧勝。今回は後方に控え、直線で外から伸びてきた。大抵はこの形になると崩れてもおかしくないだけに、素質を感じる。父ヨシダはハーツクライ産駒で、その母ヒルダズパッション。セレクトセールで1億152万円(税込)で取引され、母が生まれた米国へ渡った。キャリアのピークは4歳ターフクラシック、ウッドワードSの芝ダートGⅠ2勝。ハーツクライ産駒らしい成長曲線を描いた。デュアルウィルダーも明らかにこれから先、強くなる可能性を秘める。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳