「明日がどうなるかわからない」ウクライナに住む絵本作家の夫婦 戦渦でも笑顔でいる理由
日テレNEWS
ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナで、絵本作家・アーティストとして活動する夫婦が来日し、都内の小学校で61人の6年生たちに授業を行いました。夫婦が伝えたメッセージと、小学生たちが受け止めた思いを取材しました。 【画像】絵本で戦争の恐ろしさを伝えた『戦争が町にやってくる』 9月下旬にウクライナから来日したロマナ・ロマニーシンさん(39)とアンドリー・レシヴさん(39)。西部にあるリビウに住み、夫婦で絵本を制作しています。リビウは今年の夏に、ロシアによるミサイル攻撃を受けるなど、侵攻が始まって1年半がたった現在も、空襲警報が鳴り響く中で生活を送っているといいます。
日本で去年6月に出版された絵本『戦争が町にやってくる』(ブロンズ新社)は、“ロンド”と呼ばれる美しい町に、ある日「戦争」が突然やってくる恐ろしさを描いた物語。2人はこの作品の制作過程や、戦時下での暮らしなどを子どもたちに伝えるため先月22日、東京・調布市にある桐朋小学校を訪れました。
2人が授業で見せたのは、現在のウクライナの街の写真。毎日のように攻撃を受ける戦渦の中、教会はステンドグラスを守るためにホイルのようなもので覆ったり、オブジェがバラバラに破壊されないよう毛布で包んだりする対策がなされているといいます。
また、200年近い歴史があるという学校のドアを“砂を入れた袋”で防いでいる写真も。ここは、生徒や近所に住む人が避難できるシェルターの役割を果たしていて、土台が崩れないよう対策しているということです。
■笑顔でアイスも 心がけている“日常生活”
そして、小学生たちに特に強い印象を残したのが、ロマナさんとアンドリーさんが写った1枚の写真。住んでいるアパートのバルコニーでアイスを片手に、笑顔を見せる2人の姿がありました。 アンドリーさんは、「戦争の時にもたくさんの花を育てたり、暑くなったらバルコニーでアイスを食べたり、なるべく普通の日常生活を送ることを心がけています。この写真を見ると、本当に戦争中に撮った写真だとは思えない。不思議に思うのですが、笑顔で頑張っていくしかない」と写真について説明すると、ロマナさんは「こういった平和的な日常の大切さが、戦争が始まってから初めてわかりました。大切な静かな時間を自分で作らないと、次に警報が鳴ったら楽しめなくなる。そういうふうに、毎日大切な時間を作っているんです」と、笑顔でいる理由を明かしました。