来春開校「いまみや小中一貫校」。中学校の英語担当教員が小学生の英語を指導
大阪市西成区花園北の市立今宮中学校。比較的に広い敷地内で小学校校舎の建設工事が、急ピッチで進む。来春、「いまみや小中一貫校」に生まれ変わるための準備だ。大阪市では3校目の施設一体型小中一貫校で、小学校3校の統合と併せて小中一貫校に再編されるのは初めて。学校公開日には市内一円から見学者が訪れるなど、大きな関心を集めている。 なぜ「小中一貫教育学校」創設を目指すのか 教育再生会議が提言
今宮中学校内に小学校校舎を建設中
「いまみや小中一貫校」は、「やたなか小中一貫校」(東住吉区、2012年4月開校)、「小中一貫校むくのき学園」(東淀川区、今年4月開校)に続く、市内で3番目の施設一体型小中一貫校となる。 先行する2校は小学校と中学校が1校ずつの一貫校として開校したが、「いまみや小中一貫校」は、生徒数の少ない小学校3校を1校に統合する機会をとらえて、小中一貫校に再編されることになった。 統合されるのは萩之茶屋小、今宮小、弘治小で、現今宮中の敷地内に新今宮小学校が設置される。3校の小学生にとっては、クラスメイトが増える上、中学校の先輩たちとともに学ぶことになるなど、真新しい校舎で学習環境が一新される。3校の小学校と今宮中学校からの進学者に加えて、大阪市内から広く進学希望者を募集している。
「大フィル」と交流し紙芝居にも挑戦
小中一貫校の特色は、9年間を見据えた長期的視点での学習指導。小学校1年生から生きた英語学習を実施。小中教員の連携や小学校高学年からの一部担任制などで、充実した教科指導の実現をめざす。 たとえば小学生が英語を学ぶ際、中学校の英語担当教員が小学校で英語の授業を行う。同時に、中学校の授業で小学校課程のおさらいが必要な場合は、小学校教員が中学校の授業を手伝うこともありうる。 さらに、英語検定や漢字検定、小学生からの部活動、小中学生の活発な交流活動などで、児童生徒のチャレンジ精神を伸ばしていく。 「いまみや小中一貫校」では、「交流」「挑戦」「体験」を重視。「交流」の一環として、西成区内に拠点を置く大阪フィルハーモニー交響楽団との交流を深め、近隣の「塩崎おとき紙芝居博物館」から講師を招き、紙芝居などの伝統芸能を教えてもらうなど、地域との交流を通じて、西成区の良さや大阪の魅力を学んでいく。 一方、小中一貫教育の課題のひとつとして、いじめの長期化を不安視する声が少なくない。小学校でいじめが発生した場合、中学生になってもいじめが解消されないのではないかという懸念だ。 小中一貫教育を進める市教育委員会指導部は「小学生と中学生がともに学習することで、児童生徒はあこがれる上級生から多くを学び、下級生に気を配ることで精神的な成長が促され、いじめの発生自体が抑制される」と指摘する。