ゼレンスキー氏、欧州のウクライナ派兵に期待表明 旗振り役の仏と協議継続へ
【ロンドン=黒瀬悦成】ロシアに侵略されたウクライナのゼレンスキー大統領は18日、訪問先のブリュッセルでフランスのマクロン大統領と会談した。ゼレンスキー氏は、マクロン氏が提唱する欧州各国によるウクライナへの派兵に関し「平和への道筋を安定化させる」との認識を示し、同氏と協議を続ける考えを明らかにした。 【写真】モスクワでロシア軍幹部らが死亡した爆発の現場 ゼレンスキー氏は続いて同日、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長が主催する欧州主要国の首脳らとの会合に出席し、ウクライナ戦争の早急な幕引きを目指すトランプ次期米大統領が来月就任するのをにらんだ今後のウクライナ支援のあり方などについて協議した。 会合にはドイツのショルツ首相やイタリアのメローニ首相、欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長らが参加した。 ゼレンスキー氏は会合の直前、記者団に「会合はウクライナの安全の保証について話し合う非常に良い機会だ」と述べ、欧州による派兵に期待を示した。 ウクライナで停戦が実現した場合、欧州各国がウクライナに平和維持部隊を派遣する構想が浮上していることなどを念頭に置いた発言とみられる。 だが、派兵についてはショルツ氏らが「議論は時期尚早だ」などとして難色を示しており、会合でも各国の足並みはそろわなかったもようだ。 一方、ルッテ氏は記者団に「和平協議が開かれることになった時点でウクライナが可能な限り最善な立場で臨めるようにしなければならない」と述べ、戦局がウクライナの不利にならないよう支援を強化していくと強調した。 会合では、ロシアが厳冬期にウクライナを電力不足に陥らせるために発電施設などを集中的に空から攻撃しているのを踏まえ、ウクライナの防空体制の強化に向けた支援策も話し合われたとみられる。 英国防省はこれを受けて19日、ウクライナに対ドローン(無人機)電子戦機器やレーダーなどを含む総額2億2500万ポンド(約438億円)規模の追加支援を実施すると発表した。 ゼレンスキー氏は19日にブリュッセルで開かれるEU首脳会議にも出席し、劣勢が強まる戦局の打開に向けた早急な支援の強化を訴える。