ビール市場シェア拡大へ「プレモルがあってサントリー生があって金麦があることを強みに」…サントリー・鳥井信宏社長
国内酒類事業を手がけるサントリーの鳥井信宏社長が読売新聞のインタビューに応じた。ウイスキーやワイン、蒸留酒で強いサントリーが悲願のビール市場シェア(占有率)拡大を進めている。コロナ禍を経て、消費者の好みが変わる中で、戦略を聞いた。(聞き手・貝塚麟太郎)
狭義のビールも新ジャンルも善戦
――2024年10月の酒税改正から1年。狭義のビールで取り組みの成果をどう評価するか。
「当社は狭義のビールの比率が他社よりも低いので、トータルで見れば、(酒税改正は)有利ではない。だが、狭義のビールも新ジャンル(第3のビール)も善戦している。プレモルがあってサントリー生があって、金麦があって、それぞれのパフォーマンスが他社に比べていい。
サントリー生は飲んだ時の香ばしさがあって、これまでと違う味だった。こういうモノが作れるのだと感激した。プレモルとの違いが出せたというのは大英断だったと思う。もう一踏ん張り販売に知恵を絞りたい。
(アサヒビールの)スーパードライと金麦はブランド認知が高く、手にとってもらいやすい商品だと思う。さから、コンビニでも指名買いが起こる。(サントリー生を)そこまで育てるためにどうするか。
当社が一番得意なのは、業務用から家庭用。飲食店から缶のユーザーへというのが得意技なので、飲食店の取り扱いを増やせば、(業務用の)樽生を置いている店のエリアのコンビニで売れる。だから、飲食店はもう少しやっていきたい。
ただ、瓶ビールは市場が縮小しているし、収益も厳しい。その中で瓶を出す決断をした。その結果、業務用の流通の方々から評価を頂いている。キリンやアサヒ、サッポロを置いている店にサントリーが入れれば、客との接点は広がる。愚直にやっていきたい」
――金麦に代表される第3のビールや発泡酒は。
「やっぱり需要が堅い。今でも値段の差がある。流通の方からは、ビール回帰だといわれてビールに力を入れたが、売り上げが伸びなかったと言われた。第3のビールもちゃんとやらないとトータルの売り上げが伸びない。