ウクライナ外相が訪中、ロシアの侵攻後初めて-対中関係改善探る
(ブルームバーグ): ウクライナのクレバ外相が23日、中国に到着した。ロシアが2年余り前に始めた戦争を終わらせるため、中国が果たし得る役割について協議する見通しだ。
ウクライナの高官による訪問は8年ぶり。中国はウクライナ侵攻を始めたロシアの経済的な頼みの綱としての機能を果たす一方、ロシアを含めた和平イニシアチブを巡り独自の案を示している。
クレバ外相は中国に到着後、「われわれは話し合い、接点を探る」とした上で、「和平プランを巡る競争を避け、安定的で公正な平和に向かわなければならない」と述べた。
ウクライナ外務省の声明によれば、クレバ氏は「安定的で公正な平和の実現で中国が果たし得る役割」について協議することを目的に、中国の王毅外相から訪中の招請を受けた。会談は24日に行われる予定。
懐疑的な向きも
ウクライナは中国との関係改善を試みている。米大統領選や西側諸国の支持減退で、ウクライナの防衛を巡る持久力に疑問が投げかけられているためだ。中国はロシアが加わっていないとして、ウクライナが先月開いた平和サミットを欠席した。
ウクライナは現在、11月の米大統領選を前に2回目のサミットを開催しようとしており、ロシアの参加にもオープンな姿勢を示している。
欧米のウクライナ支援国は、ウクライナとロシアの間の和平仲介者として、中国の信頼性を疑問視する声を強めている。習近平国家主席はロシアによるウクライナ侵攻を非難したり、占領地からの撤退を求めたりしていない。一方、中国の当局者はウクライナでの戦争を「あおっている」として米国を定期的に批判している。
こうした実績から、ウクライナが受け入れられる平和解決に中国を加えようと試みる必要性は認めながらも、懐疑的にみる向きもウクライナ側にある。
ウクライナ国立戦略研究所のチーフコンサルタント、アリナ・フリツェンコ氏は、クレバ外相の訪中に大きな期待は抱いておらず、戦争に対する立場を変えるよう中国を説得することは「不可能」だと述べた。