宝塚医療大、加賀市に観光学部キャンパス 27年4月に開設
●特区でヘルスツーリズム研究 全国有数の温泉地である加賀市に、宝塚医療大(本部・兵庫県宝塚市)が2027年4月、観光学部の加賀キャンパスを開設する方針を固めたことが19日分かった。年内に市と進出協定を結ぶ見通し。大学側は和歌山県で実績がある若者の県外流出の食い止めに協力し、市側は政府の指定を受けるデジタル田園健康特区の活用で大学のヘルスツーリズム研究所設立を支援していく。 ●年内に進出協定 宝塚医療大は今年度、観光学部を新設し、沖縄県宮古島市に観光学科1年次の宮古島キャンパスを開設した。統廃合した中学校の廃校舎を改装し、敷地に学生寮を建設。来年度以降の2~4年次は尼崎キャンパス(兵庫県尼崎市)で学ぶ予定で、加賀キャンパス開設に伴い、3キャンパス体制となる見込み。 加賀キャンパスでは観光学部2~4年の学生が各学年40人で計120人程度、観光専門の教員5人程度の常駐を検討。市内の空き公共施設を活用し、校舎などに改修することを想定している。加賀温泉郷の旅館、ホテルの観光事業者にもOJT(職場内研修)などで協力を求めていく。 ●若者の県外流出防ぐ 北國新聞社の取材に対し、学校法人平成医療学園の大学担当理事で宝塚医療大保健医療学部の小原教孝教授は、和歌山県の要請を受けて開設した和歌山保健医療学部(和歌山市)の実績を紹介。リハビリテーション、看護の2学科で98%を占める県内出身の学生が地元に就職し、同大が若者の県外流出の食い止めに貢献しているとし「加賀市の振興や人口減少対策につなげたい」と話した。 宝塚医療大は、観光と東洋医学に基づく免疫力の強化や健康増進の研究開発、データ収集などを進めるヘルスツーリズム研究所設立を準備しており、キャンパスを置く各地の特性を生かした研究を視野に入れる。小原教授は「加賀市でも健康増進や病気の予防につながる温泉効果の研究が見込まれる」と説明した。 同大の研究所設立を支援する市側は、将来的にヘルスツーリズムを展開することで加賀温泉郷の付加価値を高め、世界の富裕層を取り込む温泉観光都市の実現を目指す考えだ。 ★宝塚医療大 全国柔整鍼灸協同組合を母体とする学校法人平成医療学園が2011年4月に開学した。保健医療学部(宝塚市)に理学療法、柔道整復、鍼灸、口腔保健の4学科、和歌山保健医療学部(和歌山市)にリハビリテーション、看護の2学科、観光学部に観光学科がある。留学生別科の東京キャンパス(東京・荒川区)、大阪難波キャンパス(大阪市)などで構成される。同学園は東京、大阪、神奈川、愛知、福島の5都府県で医療専門課程、文化・教養専門課程の専門学校6校も運営する。