毎月の営業ノルマに苦しんでいるサラリーマンです。ノルマに「法的な義務」はあるのでしょうか?
営業職として働いていると、企業によってノルマが課せられるケースもあります。中には過剰な営業ノルマや目標を達成できなかったときのペナルティーなどで悩んでいる人もいます。 本記事では、営業ノルマに法的な義務があるのか、過剰な営業ノルマの設定が違法行為にあたるのかなどについて紹介します。
営業ノルマは法的な義務ではない
営業ノルマは、法的な義務ではありません。労働者は企業に労働力を提供する義務があります。しかし、成果を上げるための責任は指揮を執っている企業にあります。 ◆営業ノルマは企業が独自に設定するもの 営業ノルマは、あくまで企業や営業マンが成長したり、成果を上げたりするための手段の一つです。営業マンは「ノルマ」をスキルを上げるための目標として考えたりするとよいでしょう。 もし営業ノルマがきつい、プレッシャーに感じるという人はノルマのない企業を選ぶのも一つの手段です。 ◆営業ノルマを設定していない企業もある すべての企業の営業職で、ノルマが設定されているわけではありません。例えば個人のノルマを設定せず、部署全体のノルマのみ設定している企業もあるでしょう。 このように営業マン同士が競い合うのではなく、1つの目標に向かって全員で協力し合いながら成果を上げていくという考え方の企業もあります。
過剰な営業ノルマの設定は違法行為になる可能性がある
企業が営業マンに対して過剰な営業ノルマを課すことは、違法行為にあたる可能性もあります。企業によっては、チームの営業目標を達成させるために、上司から部下に対して商品購入を強制するケースがあるようです。このように企業が労働者に対して自社の製品を購入するよう強制する行為を自爆営業といいます。 自爆営業では企業が購入を強制するケースだけではなく、過剰なノルマを達成できず自主的に購入するケース、ノルマを達成できなかったペナルティーとして給与から商品の代金を天引きするケースなどがあります。 自爆営業の多くはノルマ達成を目的としており、強制されているもしくは断れない環境下で行われているにもかかわらず、営業マンが自主的に協力していると扱われるケースが多いです。 ◆自爆営業で商品の購入を強制される 営業ノルマを達成させるために、自社商品の購入を強制した場合、企業側は強要罪にあたる可能性があります。強要罪は、刑法第223条で定められており、生命や身体、自由、名誉もしくは財産に対して害を加えることや脅迫や暴行を用いて義務のないことを行わせると3年以下の懲役となる場合があります。 すべての自爆営業が強要罪にあたるとは限りませんが、企業側から商品購入を強制されるようなケースがあれば弁護士への相談をおすすめします。 ◆過剰な営業ノルマに対してペナルティーを課す 企業が営業マンに対してノルマ設定すること自体は違法ではありません。しかし、過剰な営業ノルマを達成できなかった場合に、企業が労働者にペナルティーを課す行為は労働基準法に違反する可能性があります。 労働基準法第16条では、使用者は労働契約において不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定したりする契約をしてはいけないことが定められています。 つまり、ノルマ未達成のペナルティーを課す行為は、違法とみなされる場合があるでしょう。第16条に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処されることが第119条で定められています。 ◆営業ノルマ分の商品代金を給与から天引きされる 営業ノルマを達成できなかったときに、ノルマ分の商品代金を給与から天引きする行為は、労働基準法第24条1項で定められている「賃金は通貨で直接労働者に全額支払う必要がある」内容に違反する可能性があります。 自社商品を通貨とみなすのは難しいため、商品を給与として支払うことやノルマを達成できなかったペナルティーとして給与から強制的に商品代金を天引きする行為も違法になる可能性が高いでしょう。
営業ノルマに法的な義務はない
営業ノルマに法的な義務はないため、ペナルティーを受けたり商品を強制で購入したりする必要もありません。 しかし、企業側からのプレッシャーにより受け入れてしまう人も多いでしょう。そのため少しでも疑問に感じる点があったら、弁護士に相談するのも一つの手段です。 また環境があわないと感じたら、過度なノルマを設定しない企業に転職するのもよいでしょう。 出典 e-Gov 法令検索 刑法 e-Gov 法令検索 労働基準法 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部