【更年期】花粉症の45歳、くしゃみで骨折! 女性ホルモン低下で「骨粗しょう症」に⁉ 予防と発症のサインとは
「咳が原因で骨折してしまった」などの悩みはありませんか? 日本の女性は一般的に50歳頃に閉経を迎えるといわれてきましたが、昨今の研究では平均値は52歳であるとされ、閉経前後の5年間が更年期と定義されています。 更年期にはからだや心のさまざまな不調に悩む女性が多いようです。 【 表 】更年期におすすめな11種類の漢方薬 更年期女性のお悩みのひとつに「骨粗しょう症」があります。 今回は、更年期の骨粗しょう症の対策法について「あんしん漢方」の薬剤師、清水みゆきさんに教えてもらいました。
くしゃみをすると「肋骨」が痛い!
みえこさん(45歳)は重度の花粉症で、春先になるとくしゃみや咳が止まりません。 「くしゃみが続くのはいつものことなんですが、今年はくしゃみをするたびに、肋骨に軽い痛みを感じるようになってきたんです」 からだを反らしたり、ひねったりすると痛むこともあり、動くのも億劫というみえこさん。 「くしゃみや咳をするたびに肋骨の痛みが強くなるので、外出するのが怖くなって……すっかり引きこもりです」
レントゲンの検査結果は…?
肋骨の痛みが我慢できなくなったみえこさんは、花粉症で通院しているアレルギー内科で医師に相談してみました。 「医師からは肋骨骨折の可能性を指摘され、整形外科を受診することになりました。触診とレントゲンの検査結果、やはり肋骨が折れていました」 くしゃみや咳で骨折するのは高齢者の話だと思っていたみえこさん。 「更年期になると骨がもろくなるんですよ。もしかすると、骨粗しょう症になりかけている可能性がありますね」 という医師の言葉にショックをうけてしまいました。
更年期の女性は骨粗しょう症に注意して
【1】更年期の女性は骨がもろくなりやすい 骨は新陳代謝を繰り返しており、破骨細胞が古い骨を壊し、骨芽細胞が新しい骨をつくることで健康を維持しています。 この骨代謝に関与しているのが、エストロゲンという女性ホルモンです。 更年期はエストロゲンが減少するため、破骨細胞の活動が活発になり、骨を壊す作用が強くなります。 一方で、骨芽細胞による新しい骨の形成が追いつかず、骨量が減少して骨密度の低下が生じ、骨がもろくなるのです。 【2】女性ホルモンと骨粗しょう症 前述したように、更年期はエストロゲンの減少により骨密度が低下するため、骨粗しょう症のリスクが高くなります。 50歳頃から骨量の減少が顕著になるとされており、閉経後の女性はとくに、骨粗しょう症に注意が必要です。 男性にもエストロゲンはありますが女性よりも少なく、男性ホルモンであるテストステロンは骨形成を促進するはたらきがあります。 そのため、女性よりも骨量が多く骨量の減少が遅い男性は、骨粗しょう症になるリスクが低いと考えられているのです。 また、健康診断の標準メニューには骨密度の測定が含まれていないため、自分の骨の健康状態を正確に把握できていない人も多いようです。 人の骨量は20代前半にピークに達し、その後は次第に減少するため、若い時期に骨量を最大限に増やしておくことが加齢による骨量の減少の緩和につながります。 つまり、骨の健康を維持するためには、年をとってからではなく今からのケアがとても大切なのです。 【3】骨粗しょう症の症状と予防方法 骨粗しょう症は、骨の量が減少して骨折しやすくなる病気です。 具体的には以下のような症状がみられます。 ・背骨の曲がり ・身長の縮小 ・背中や腰の痛み ・小さな衝撃での骨折の増加 骨粗しょう症の予防方法としては、まず、骨の主な材料となるカルシウムやカルシウムの吸収を高めるビタミンDを多く含む食べ物を積極的に摂取するよう心がけましょう。 乳製品や小魚、緑黄色野菜などがおすすめです。 サプリメントやカルシウム強化食品を活用するのも選択肢のひとつです。 なお、年齢により必要なカルシウム量は違います。 12歳から14歳が骨の成長が盛んな時期なので最も多いカルシウム摂取が必要となります。 また、ビタミンDの生成につながる日光浴や、骨を強く保つために適度な運動をすることもおすすめです。 つづきの【後編】では、更年期の骨粗しょう症予防におすすめの漢方薬、その際の注意点など。更年期のくしゃみ骨折対策についてお話を伺います。
あんしん漢方/薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師 清水みゆき