レディー・ガガの女優としての凄み 『ジョーカー2』トッド・フィリップス監督が語る
孤独だが心優しい男が“悪のカリスマ”へと変貌を遂げていくドラマを、アカデミー賞常連の実力派スタッフ・キャストで描き、社会現象を巻き起こした映画『ジョーカー』(2019)の最新作にして完結編となる『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』通称「ジョーカー2」が公開中だ。メガホンを取ったトッド・フィリップス監督が、謎の女・リーを演じたレディー・ガガについて語った。 【写真】リー役のレディー・ガガとジョーカー役のホアキン・フェニックスほか(全10枚)
ジョーカーになった男のその後が描かれる本作。理不尽な世の中の代弁者として時代の寵児となったジョーカー(ホアキン・フェニックス)は、彼の前に突然現れた謎の女リー(レディー・ガガ)とともに、狂乱が世界へ伝播していく。孤独で心優しかった男の暴走の行方とは――。 フィリップス監督は、レディー・ガガについて「最も複雑でない、複雑な人」と表現し、「どういう意味かというと、彼女はとても大きな人生を送っていると思うでしょう。僕たちみんなが知っている俳優たち、有名な俳優、大物俳優がいます。そして、レディー・ガガのように超越的な人もいます。名声は演技を超えているんです。彼らは別の意味で世界的に有名です。だから、それには多くの複雑なことがたくさんついてくると思うでしょう。100人のチームや警備とか、もろもろのことです」と説明。 その上で、「僕が驚いたのは、彼女が女優としてそこにいるとき、彼女が実際どれほど複雑ではないか、ということでした。彼女はマディソン・スクエア・ガーデンのステージに立ち、3万人の観客を前に歌うためにそこにいるわけではありません。女優として登場するときの彼女は、複雑ではないんです」と、現場での女優としてのガガについて語った。
ガガの初主演映画『アリー/スター誕生』のプロデューサーを務めていたフィリップス監督。「ブラッドリー(・クーパー)が彼女と一緒に仕事をするのを見ることができ、彼女がどれほど素晴らしいかを知りました」と当時を振り返る。 ガガの凄みを知っていたものの、本作に関して不安もあったという。 「これはまったく違う映画です。ホアキンはブラッドリーとはまったく違う俳優です。彼女が、役柄として、またホアキンの周囲で、弱さを出せるかどうか少し心配でした。彼はある意味、もっとタフですから(笑)。また、彼女は今まで一緒に仕事をしてきたどの俳優よりも伝説的です。僕は、大物俳優と仕事をしたことがあります。でも、世界的スーパースターと仕事をする時、それは違うことなんです。だから、僕たちは、彼女がどれほど素早くそういうものすべてを手放し、無防備になれたかということに驚きました。ホアキンと僕は、いつもその話をしていたんです。驚きでした」 撮影においては、ガガがプロの歌手のテクニックを手放さなければならなかったが、その点もしっかりと乗り越えてリーを演じ切ったという。 「僕が、音楽的に『この音はおかしい』とか、『別のキーで歌って』とか、彼女に言うことは決してありません。なぜなら、彼女は僕が知っているよりも、音楽について限りなく詳しいからです。でも、彼女が学んだテクニックの一部を手放さなければならなかったということもありました。なぜなら、リーがファンタジーの中ではなく、映画の中で実際に歌っているとき、リーはプロの歌手ではないからです。その中には、『リーになるために、もっと感情に集中しよう、テクニックはあまり必要ない』ということもありました。そして彼女はそれが出来たんです。それはおそらくプロの歌手にとって、想像以上に難しいことでしょう」と称えていた。 (c) & TM DC (c) 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. IMAX(R) is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories