元三井物産・資産数億円投資家が20年以上前に「商社株」の成長性を見抜けた理由「酷評されている銘柄でも売らない」
酷評されている銘柄でも売らない
私は原則、保有株を売ることはありません。いま散々に売られている銘柄、たとえば日産自動車(7201)やあおぞら銀行(8304)などの銘柄も売っていません。自動車業界が認証不正事件にEV販売の見通しの悪さも相まって全体的な株価下落、膠着状態が続いている中、日産は業績の下方修正、1ドル145円から155円に為替想定の修正をするなど、ほかよりもさらに見通しが良くない状態です。あおぞら銀行も「米国不動産向け融資は底なし沼だし、対応が後手に回りすぎている」と、市場からかなり低い評価を受けています。 短期的には、これらの企業の株価が下がるのは仕方がないと思います。ですが私はこれらの株を1株たりとも売らないどころか、逆にタイミングを見計らって買い増しています。たとえばあおぞら銀行は、コロナ禍影響でのオフィス市場の軟調さも重なり結果としては残念な状態になっていますが(本来は最も安定していると考えられていた)、難しいところに先駆けて挑戦していった姿勢は評価すべきだと思っており、そう簡単ではないですが超長期的な視点ではいつか復活すると信じています。 また私の場合、主力・準主力株が相当強固なので、仮にこれらの企業が潰れたとしてもさほど痛くはありません。ですから最近新NISAで株式投資を始めた人に、日産自動車やあおぞら銀行のような「いまは評価されていないけれど長期的に見れば上がっていくかもしれない株に全資産を突っ込め」とはとても言えません。それはリスクが高すぎて私でもできません。 仮にこれらの銘柄を買うにしても、まずは長期安定配当銘柄で構成された強いポートフォリオを組み立てたうえで、これらのチャレンジ銘柄をS株(単元未満株)で少しずつ、たとえば配当金の再投資の範囲内で混ぜていくことを推奨します。またさらにリスクを下げるため銘柄と時間軸を分散しながら購入していくほうがいいと思います。1銘柄に一気に突っ込むとS株でもそれなりの額になってきますから、さまざまな観点で分散することが重要です。
紫宝