元三井物産・資産数億円投資家が20年以上前に「商社株」の成長性を見抜けた理由「酷評されている銘柄でも売らない」
元三井物産社員で高配当株式投資家の紫宝氏は、20年以上前にまだ株価が低迷していたころの三井物産株や三菱商事株を買い、その資産を大きく伸ばした。なぜ市場で評価されていなかった株を買い、持ち続けることができたのか。紫宝氏が抱き続ける信念についてうかがった。
「先がない」と言われた総合商社株で億トレに
高配当株投資家であるならば、その企業の将来性や、長期にわたって高配当を出してくれることを信じてその銘柄を選んでいるはずです。つまり選ぶべき企業は、原則として業績(基礎収益力)が長期的に安定していて、増配もしているような長期優良企業です。売上は短期的には下がっていても大丈夫ですが、長期的に見たときには右肩上がりになっている企業が望ましいですね。 ただ、私が超主力株である三井物産(8031)や三菱商事(8058)を買い始めたのはもう20年以上前ですが、そのとき「商社はもう終わりだ」と言われていました。「メーカーは商社が間に入らなくても自分たちで海外に出て稼いでいけるようになるから、右から左に流すだけで手数料を貰う口銭商売にはもう先がない」などと言われていたのです。 ですが結局、2000年に400円を割り込んでいた同社の株価は、現在3000円を超えています。もちろんこれまでの間に軸となるビジネススタイルをより大きな収益可能性を持つ「事業投資型」へとシフトさせていった結果ですが、このように、いわゆる「オワコン」と言われる銘柄を周囲の声に惑わされずに“深く分析した結果”その将来性や底力を信じて買い向かった人たちだけが、将来実際にその恩恵にあずかることができるのです。 いま、自動車メーカーや製薬会社など、株価がかなり下落している銘柄があります。あなたはその企業のうちのどれか一つでもいいので、しっかりと分析し、「長期でみれば割安だ」と信じて買うことができるでしょうか。それができたのが、20年前に三井物産株や三菱商事株を買った私なのです。 結局投資とは、「どれだけ根を張った真の覚悟を持てるか」なのです。