<強者に勝て!・’21センバツ下関国際>支える人/3 野球部コーチ 植野翔仁さん(21) /山口
◇頼りになる“兄貴” 下関国際の選手たちの頼りになる“兄貴”が、コーチの植野翔仁さん(21)だ。夏の甲子園に初出場(2017年)した時のエースで、主将だった。選手たちと年齢が近く、練習の手伝いをしながら彼らの相談役にもなっている。 高校卒業後に県外へ出たが、その後に下関に帰郷して就職活動をしていたところ、坂原秀尚監督から声を掛けられ、快諾した。「自分は力もない状態で高校に入学して、ひたすら練習して甲子園に行けた。だからこそ伝えられることがある」。引き受けた理由をそう振り返る。20年9月には正式に学校の臨時職員として採用され、コーチに就任した。 現役時代は、下関国際の全員でカバーしあう守備などチームの一体感にひかれて入学を決めたものの、控え選手で2年生に。130キロ台の球速に限界を感じ、悩んでいた。 転機は高2の夏、エースで主将だった3年の先輩が延長15回再試合、次の日もその先輩が一人で投げ抜いた姿を目にした時だ。先輩たちの戦い方を前に、簡単に負けられないという気持ちが芽生えた。力技で三振を取るタイプではない分、変化球や制球力を磨いた。味方を信じて打たせて取る投球で戦い、頭角を現した。 高3になり、夏の県大会準決勝では宇部商との延長戦で逆転勝ちした。接戦を勝ち抜けたのは、先輩や人とのつながりがあったからだと感じている。 選手たちから「甲子園はどうだったか?」と聞かれることがあるが、「行ったらわかるよ」と答えるだけにしている。 甲子園へ行くためにどうするかを選手たちに伝えるのが自分の使命。そこから先は、選手たちがそれぞれの甲子園をまっさらな状態で体験してほしい。そんな思いで、後輩の晴れ舞台を楽しみにしている。【堀菜菜子】 〔山口版〕