「TN87、MP29、690MB、Z925、P730…」エポックメークなマッスルの“歴史探訪”
タイガー・ウッズ使用のマッスルを探す
プロ入り直後にタイトリストと契約する前のタイガー・ウッズは、ミズノの「MP-29」(2I~4I)、「MP-14」(5I~PW)を使用していた。MP-29はTN87の海外モデル。こちらは2つのモデルを組み合わせている上に、どちらもかなりレアだ。ウッズのアイアンはプロトタイプばかりで市販されているものが限られる。「タイガープロト」と呼ばれるモデルは、数量限定ながらオークション、フリマサイトでなら発掘できるかもしれない。 ナイキとの契約後は「VRフォージドTWブレード」が市販された。6本セットで5万円前後が中古価格相場。2017年にテーラーメイドと契約してからは「P7TW」(2019年)を今でも使用しており、15万~20万円前後で手に入る。
マッスルバックのブーム再来?
近年、マッスルバックの新製品が市場に登場する頻度が増えた。例えばテーラーメイドは2013年に「ツアープリファードMB」を発売以来、2017年の「P730」までマッスルバックが登場しなかったが、P7TW(2019年)以降、「P7MB 2020年」、「同 2023年モデル」を立て続けにリリース。個人的なオススメはダスティン・ジョンソンやロリー・マキロイ(北アイルランド)のプロトタイプの原型になったP730だ。かなりレアだが、10万円ぐらい出せば6本セットをゲットできるかもしれない。
住友ゴム(ダンロップ)も1993年を最後に発売していなかったマッスルバックを、松山英樹と契約を交わす前年の2012年に復活させた(「スリクソンZ925」)。松山は「Z945」(2014年)、「Z965」(2016年)、マスターズ勝利に貢献した「Zフォージド」(2019年)、そして今のエース「ZフォージドII」(2023年)を使用。2019年モデルはヘッドサイズが大きめで、やさしさがある。6本セットで約7万円が相場だ。
昔のマッスルバックと最新モデル、何が違う?
最近のマッスルバックは7番アイアンのロフト角が33、34度のものがほとんど。一方で往年のモデルは35、36度で飛距離性能が落ちる。また、装着シャフトが重量級ばかりだ。その点で、最新アイアンはシャフトの選択肢が多く、フェースに高精度の表面処理が施されており、スピン性能も番手ごとに最適化されている点も見逃せない。 実際のところ、マッスルバックは中古ショップの店頭ではなかなか見つけにくい。新品時の販売数が限られているからだ。製品ターゲットである上級者は、長く使うことで自分の距離感を育てるため、なかなか買い替えないことも影響しているだろう。
最新のマッスルは、数が少なく、中古でも価格が高く維持されており、気軽に買い替えるのは難しい。ただし、希少性があまりない過去のモデルだと3万円も出せば手に入るはず。“ずっと好きだった”マッスルを手に入れて、コースで試してみるのはいかがだろう。(文・田島基晴)