代表経験豊富な比江島慎が語る、バスケ日本代表の進化と確かな自信「今はアジアで勝って当たり前の立ち位置」
「ついていくのに必死ですし、また新たな気持ちでやれているかなと思います」
6月11日、男子日本代表は来週末に行われるオーストラリア代表との強化試合に向けた合宿のメディア公開練習を行なった。 比江島慎はワールドカップ2023のフィンランド戦で17得点、ベネズエラ戦で23得点を挙げ日本の勝利に大きく貢献した。チームに欠かせないスコアラーとして、パリ五輪代表は当確と言える立場にある1人だが、今回の合宿には次のような思いで臨んでいる。 「ワールドカップを終えて、いろんな課題も見つかりました。今はそれに取り組んでいるところです。新しいメンバーも増え、また1からコミュニケーションや連携を高めながら、みんながモチベーション高く練習に取り組めています。自分もついていくのに必死ですし、また新たな気持ちでやれているかなと思います」 昨年の夏、男子代表は48年ぶりとなる自力での五輪出場という快挙を達成した。それは見方を変えれば、長らく日本はアジアの壁を越えられずにいたことを意味する。10年以上に渡り代表に名を連ねてきた比江島は、現在のメンバーにおいて誰よりもアジア相手に悔しい思いをしてきた。しかし、2月のアジアカップ2025予選ウィンドウで中国代表に勝利するなど、日本の状況は大きく変わりつつあり、比江島も「今はアジアで勝って当たり前の立ち位置でもありますし、目標は本当に高いところに設定しています」と言う。 そして、「本当に難しい相手ですが、このチームなら自分たちを信じてやっていけば勝てると思っています。1日1日を大事にしながらやっていきたいです」と、ドイツやフランスといった列強と対戦するパリ五輪でも勝機があると言い切った。
世界の強豪が相手だと「自信をしっかり持っていないと、本当に潰されてしまう」
日本代表というチームだけでなく、比江島個人としても昨年のワールドカップでは世界を相手に結果を残した。だからこそ、「世界に対して、自分の実力を証明できたところは自信にしていいと思います。そこは成長を感じられた部分なので、引き続きやっていきたいです」と自信をのぞかせる。ただ、すべての試合で活躍できたわけではなく、満足感は全くない。 「でも(2得点に終わった)ドイツとオーストラリアに対して僕が活躍できたかと言えば、そうではない反省点があり、そこの悔しさを持ちながらやっていけたらいいと思います。一方で自信をしっかり持っていないと本当に潰されてしまうので、良いイメージも持ちながらやっていけたらと思います」 そして、代表における自身の役割について「もちろん点を取りにいく気持ちは内に秘めています」と語りつつ、自分がいつ積極的に仕掛けていくべきかの状況判断の大切さを強調する。「ポイントガードから始まるバスケでもあるので、チームの状況を見ながらというところはあります。自分で打開しないといけない時はボールを要求する形に持っていきたいですが、チーム(宇都宮ブレックス)と代表では役割も少し違うと感じているので、そこは考えていきたいです」 今の比江島は確かな自信に加え、現状に満足しない向上心を持ち、33歳のベテランとは思えないハツラツさも見せている。実際、今シーズンのBリーグでは3ポイントシュート成功率44.0%でタイトルを獲得した。パリ五輪で1年前の再来、もしくはそれ以上のインパクトを世界に与える準備は着々と進んでいる。
鈴木栄一
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