黒鷲旗バレー・JT女子が連覇 吉原監督「自信につながる」
JTがアベック優勝
黒鷲旗バレー・JT女子が連覇 吉原監督、逃げるも選手が捕まえて歓喜の胴上げ THEPAGE大阪
黒鷲旗全日本男女選抜バレーボール大会の決勝戦が5日、大阪市港区の大阪市中央体育館で行われ、女子はV・プレミアリーグへ復帰を果たしたJT(ホームタウン:大阪市)がNECを逆転で破り2連覇を達成した。男子もJTがジェイテクトに勝ち、12年ぶり3度目のタイトル。
0-2から大逆転しての2連覇達成
先のチャレンジリーグで全勝優勝、チャレンジマッチも勝ちプレミアリーグに昇格を果たしたJT女子が地元大阪での黒鷲旗バレーも制した。 リオ五輪予選を戦う日本代表の古賀紗理那、島村春世を欠くが、近江あかり、白垣里紗、大野果奈、柳田光綺ら主力を揃えたプレミアのNECを0-2から大逆転しての2連覇達成。「選手たちはよく頑張ったと思います。自信につながる。苦しい試合になったが、勝ちたいという思いをコートで表現してくれました」と吉原知子監督。6試合のうち4試合がフルセットという苦しい戦いを勝利し、ようやく表情が和らいだ。その後の胴上げでは、思わず逃げて選手らに連れ戻される場面も。 「一度落とされたことがあったので好きじゃなくて……」と苦笑い。それでも「選手たちのおかげでいい思いができました」と嬉しそうに照れていた。
話し合い「全員バレー」思い出した
初戦の上尾戦で思うような試合ができず、チャレンジマッチで勝っていた相手にフルセットの末に敗れた。かみ合わずバラバラ、連覇はおろか予選敗退もありうるような内容。その夜、吉原監督は「戦う気あるの」と言って、あとは無言。その後、選手だけで話し合ったという。 「自分たちが自滅して逃げていた。『JTのプライドがあるの』と言われ返す言葉がなかった。チームワークのチームなのにバラバラになったら弱いチームになってしまうのに」と金杉由香。その言葉で目が覚めた。「高くて1本で決められる大エースがいるわけでもない、全員攻撃で何度でも攻めて」と監督が常々言っている、その「全員バレー」を思い出した。 誰かが調子を落としたり誰かがミスをしたら、他の誰かがカバー。グループ戦の久光製薬戦でウイングスパイカーの高橋昌美、準決勝でミドルブロッカーの芥川愛加がけがをした後は、プレミアリーグ優勝メンバーながら、その後、膝を2度手術し、長く中心としてプレーしていなかった位田愛、「コツコツと頑張って準備していた」(吉原監督)という小川杏奈がそれぞれ入り、チーム力を落とすことなく思い切りプレー。「競った場面で仲間を信じられるようになりました。1点の取り方はきれいじゃないかもしれないけど、粘り強く頑張ろうと」とセッターの田中美咲。 結束したJTはグループ戦で久光製薬、準々決勝で日立に競り勝ち、準決勝でもトヨタ車体に3-0とプレミア勢を次々と破り、決勝でもNECに逆転勝ち。 「ずっと試合に出られずにもどかしい気持ちはありました。でも何が起こるかわからない。どういう形でも出たら自分の仕事をしようと思って。誰が入っても同じように戦えるように、同じ意識を持ってやってきた。(けがをして)心が折れそうになったこともあったけど、こうして自分が試合に出て勝てて、あきらめずに続けてきてよかったです」と位田は涙をこぼした。 けがで決勝戦をプレーできなかった芥川も「コートの中で助けてあげられない分、杏奈(小川)にアドバイスをした。普段の練習から助け合っている。だから杏奈だったらやってくれると信じていたし、みんなだったら絶対勝ってくれるって。熊本出身(宇土市)で実家が被災し不安の中でやっていたけど、勝って熊本のみんなに元気を届けられてよかったです」と笑顔で振り返った。