レクサスが試乗会をニュージーランドで開催した意義。「GX/LBX/LM」での“旅”という経験を優先する理由。
企画に携わった、レクサス・グローバルストラテジック・コミュニケーションズでシニアマネージャーを務めているアメリカ人のモー・デュランド氏は現地でクイーンズタウンをテストドライブの場所に選んだ背景を説明してくれた。 クルマを乗り回して、エンジンやハンドリングや快適性を丹念にチェックするのにふさわしい場所というのでなく、まず、ブランドのスピリットと関連づけるところが、レクサスの面白いところだといえるかもしれない。
■レクサスブランドの歴史 レクサスは(ご存じのとおり)1989年1月にアメリカで開催された北米自動車ショー、通称デトロイトショーで発表された。私もそこで実車を見た。レクサスのブースは派手ではないものの、車両への照明の当て方など、丁寧に演出されたていたように記憶している。舞台に置かれたレクサス「LS400」は、当初の“まあ、贅沢なクラウンかな”なんて私の考えを吹き飛ばすほどの威風堂々ぶりを見せていた。
実際に内容にも凝っていた。「源流主義」と名付けられた作り方は、部品ひとつひとつの精度といった、完成車の「源流」にまで徹底的にこだわるものと説明を受けた。 1990年代には早くも、“自動車史上最速で高級ブランドとしての地位を獲得した”と欧米で評されるように。アメリカの作家トム・ウルフは1998年発表の小説「A Man In Full」(邦題は「成り上がり者」)で、成功の象徴として、主人公がレクサスを運転していることを描写している。
そんなレクサスLS400だが、日本では同じ1989年の10月に「トヨタ・セルシオ」として発売された。「レクサス」ブランドが日本に導入されるのは2005年と、だいぶあとになってからだ。初代セルシオは、今乗っても、驚くほどの静かさと乗り心地のよさを持っていて、スムーズな身のこなしで操縦性も優れている。 最近聞いた話では、今のレクサスの技術者たちが“初代LS400は、なんであんなによくできているんだろう”と、一所懸命研究しているんだとか。ここも面白い。クルマづくりには、書面だけでは技術継承が難しい部分があるのだろう。
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