東京都の「20時完全退庁」どうなった?
東京都が、本庁舎で働く約1万人の職員に対して午後8時(20時)までに仕事を終えて退庁するよう促す「20時完全退庁」を始めたことを覚えているでしょうか。小池百合子知事が就任後に働き方改革の一環として取り入れた施策で、2016年10月から開始されました。それから約3年4か月。効果は現れているのでしょうか。
残業時間ゼロを目指して導入
「20時完全退庁」は、2016年8月に就任した小池知事が都職員の残業時間ゼロを目指して導入しました。当初、都人事部は「22時」を提案しましたが、小池知事が却下。「18時」を目指した知事側と職員が調整した末、「20時完全退庁」に落ち着いた経緯があります。
この施策を導入以後、都庁では20時に退庁を知らせる放送を流し、20時15分・30分・45分と15分おきに全庁を一斉消灯し、職員の帰宅を促しています。 都人事部によると、この取り組みは今も続いています。現在は、毎月第3月曜日を全庁共通の20時完全退庁日に設定。それとは別に、部署単位でも月1回の20時完全退庁日を決めているそうです。ある職員は「会議の日時をずらして20時を超えないようにするなど、20時までに退庁しようという意識、雰囲気が浸透しつつある」としています。 一方、人事に関わる職員は発令時期の4月に向けて、議会担当の職員は本会議のある2月から3月、6月、9月、12月が忙しいなど、繁忙期がある部署からは「20時完全退庁は困難」との声もあがっています。
残業時間は減ったか
では、残業時間は減ったのでしょうか。この取り組みを始めた2016年度の都職員1人あたりの月平均残業時間は22.7時間でした。2017年度は22.4時間となり前年度より0.3時間減少しました。ところが、2018年度になると23.8時間と逆に前年より1.4時間増加しました。 残業が増えた要因について、人事部担当者は「東京五輪・パラリンピックの準備や、台風など災害への対応などの業務増加によるもの」と分析しています。昨年度はまだ分析中としながらも「年度前半は、残念ながら(残業時間の)増加傾向がみられます。五輪・パラリンピック大会が迫っていることや、大規模災害の影響が大きいと見ています」と話しています。 20時以降に退庁する職員数に増減はあったのかも聞きましたが、人事部では調べていないそうです。したがって、20時完全退庁がどの程度、都職員に定着したのかは定かではありません。 (取材・文:具志堅浩二)