侍ジャパン・井端弘和監督が語っていた4番・森下翔太の魅力「彼には不思議な力がある。チームの雰囲気を変える一打を打てるのは彼しかいない」
【球界ここだけの話】11月13日に「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」が開幕。日本代表「侍ジャパン」が、2019年の第2回大会に続く連覇を目指す戦いが始まった。若きメンバーが集まる中、注目の4番に名を連ねたのは阪神の森下翔太外野手(24)だった。 【写真】台湾・桃園国際空港で現地ファンの歓迎を受ける森下 井端弘和監督(44)が代表監督に就任して、2023年のアジアプロ野球チャンピオンシップ、2024年3月の強化試合に続き、3度連続の代表選出となった。日本の4番を誰に任せるのか。指揮官が選んだのは森下。宮崎でのキャンプ中に、若虎の魅力を語っていた。 「彼には不思議な力があるように感じる。やっぱり去年も日本シリーズが終わってから合流して、チーム的にも打てない中で、彼が来た瞬間に打線に火がついたっていうところもあった。やっぱりチームの雰囲気をガラッと変える一打を打てるのは彼しかいないなと」 井端監督が振り返るのは昨年の宮崎での代表合宿だ。大会を直前に控えたチームだったが、11月10日の初戦は巨人に完封負け。重苦しい初陣だった。そんな中、日本シリーズを戦い抜いて日本一を達成した森下が代表に合流。そのすぐあとだった。 12日の広島戦。日本代表は五回まで1―3と、またもリードを許していた。しかし六回1死で森下が、左翼へ特大なソロ本塁打を放つ。これを皮切りに逆転に成功し、6―3と快勝した。ここからチームは本戦を4連勝で連覇を達成するが、その中心にも森下がいた。 台湾との開幕戦だ。先発は先日、日本ハムが優先交渉権獲得を発表した、古林叡煬(グーリン・ルェヤン)投手だった。『火球男』の名を取る剛腕を前に日本打線は五回まで無安打と苦しめられていた。そんな展開もひと振りで打開する。七回1死から左翼席への本塁打。九回にもダメ押しの3得点につながる安打を放ち、白星発進に貢献。井端監督も「本塁打で嫌な空気を変えてくれた。最終回のチャンスメークも素晴らしかった」とたたえる活躍から連覇につながった。 そんな経験があったからこそ、トップチームでも4番を任せた。森下も「名前を呼ばれたときに、身と気が引き締まった」「打てるのはすごく光栄なこと」と責任をパワーに変える。指揮官の期待通り、森下は開幕のオーストラリア戦から3安打2打点と躍動。マン・オブ・ザ・マッチに輝き、〝想定通り〟の力を見せつけた。
井端監督は言う。「逆境の時に彼だったら何かコトを起こしてくれる。日本の中では数少ないバッター。そこを1年目から持っているっていうところは、結構長くここ(日本代表)に来る選手なのかなとは思っています」。井端監督はすでに2026年のWBCまで指揮を取ることが確定。次に待つ戦いのためにも、まずは今大会を野球世界一の国・日本の4番が優勝に導く。(中屋友那)