だから面白い、やめられない… “春”を求めた女優・南沢奈央がみつけた“運命の赤い糸”の先にあったもの
赤い糸で結ばれていたと勘違いするくらいの、そんな入口で嗜むものだから、もう感動もひとしお。100年ものあいだ多くの人々の心を動かしてきた、宮沢賢治の瑞々しい感性と言葉が紡ぐ詩の数々を味わって、まさに実感するのだ。 〈きみたちときょうあうことができたので わたくしはこの巨きな旅のなかの一つづりから 血みどろになって遁げなくてもいいのです〉 やさしい空気をまといながらも生命力に溢れた“きみたち”に、わたしもどれだけ元気をもらったか。 東京ではそろそろ桜が満開を迎える。兵庫の劇場の楽屋で、この本を傍らに置いて思うのだ。明日、残り2公演をもって大千秋楽を迎える。魂を注いで表現してきた。なにか、花咲く予感がある。そのとき、いったいどんな景色が見られるのだろうか。 この心のときめきが、春だ。