日本人が握ると値段が変わる...寿司職人が驚いた「海外のSUSHI店事情」
寿司職人の小川洋利さんは、日本のすし文化を全世界に広めるため、世界50カ国以上にわたって、すし指導員として外国人シェフに調理指導をされています。そんな小川さんが驚いた「海外のスシ店事情」とは? 【写真】アメリカ人が驚いた"日本のお弁当" ※本稿は、小川洋利著『寿司サムライが行く! トップ寿司職人が世界を回り歩いて見てきた』(キーステージ21)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
欧米人には区別がつかないアジア人
私は、アメリカ、ヨーロッパ、南米、アジアなど、世界40か国ぐらいに行っていますが、寿司店のカウンターの裏にいる調理人は中東系・アフリカ系の方たちが働いていて、表のカウンターはほとんどアジア系の方だったりします。 最初は人種差別かなと考えたりしたのですが、オーナーが言うには、アジア系の人が握るとお金が取れるらしいのです。だからわざと立たせていると......。 ヨーロッパに行くと、調理場には中東系・アフリカ系の人、接客は、現地の人々、カウンターに いる人たちはアジア系という店が多い。とくに多いのは中国人とタイ人。 タイ人はとても仕事に対して真面目だし、手先が器用。オーナーとしてはよく働くのでうれしい限りなのです。しかも、私たちから見れば日本人じゃないとわかりますが、欧米の人たちから見ると、まったく区別がつかないらしいのです。 ネームプレートには「鈴木」など日本人の名前が書いてありますが、話しかけると日本語がわからないという職人もいます。日本人に似た人たちが、白衣をピシッとつけると、日本人が寿司を握っているように見えます。日本の寿司を日本人が作っていると思うと、お客様の反応がちがいます。 私たちがフランス料理を食べに行っても同じように、フランス人がフランス料理を作っていると、イメージ的にやはりポイントが高いですよね。中国人が中華料理を作っていたり、インド人がカレーを作っていたりすると、なんだか本格的だなと感じます。 海外の寿司店でも同じで、寿司店のカウンターで日本人に似たアジア人が握ることによって、お客様が安心して注文してくださるのです。 実際は中国人だったり、タイ人や韓国人が握っています。海外で働いている日本人の寿司職人は実際にはそこまで多くないのです。海外で活躍している日本の職人もいますが、本当にごく一部で、実際に働いているのは、日本に出稼ぎで来て修行経験のあるアジア人だったりします。