【宝塚記念】ブローザホーン道悪突き抜けた 菅原明、天も味方し外ラチ沿い強襲G1初制覇
<宝塚記念>◇23日=京都◇G1◇芝2200メートル◇3歳上◇出走13頭 勝利のホーンが響いた。3番人気のブローザホーン(牡5、吉岡)が18年ぶりの淀グランプリを制し、G1初制覇を果たした。後方待機から直線は外ラチまでいっぱいに広がったたたき合いの中で、重馬場を苦にせず大外から突き抜けた。デビュー6年目の菅原明良騎手(23=高木)、開業5年目の吉岡辰弥調教師(48)も初のG1タイトルを奪取。秋は国内に専念する見込みだ。1番人気のドウデュース(牡5、友道)は6着に敗れた。 ◇ ◇ ◇ 雨粒と歓声が交差するゴール前。ファンの眼前に、その姿は、ひときわ大きく見えたことだろう。428キロ。13頭の中で最も小柄なブローザホーンが、横いっぱいに広がった直線のたたき合いを、さらに外からぶち抜いた。 「ものすごくうれしいです。追って伸びる自信がありました。強かった。馬に感謝しかないです」 23度目の挑戦でG1初制覇となった菅原明騎手は、白い歯をこぼした。 人馬とも、慌てなかった。8枠12番からのスタート。ゲートが開いて鞍上の手が少し動いたが、序盤の位置は後方11番手。「ゲートを出てから馬と相談しようと。思ったより後ろだなとは思いましたが、重馬場も苦にしないですし、いつもと変わらず走れていました」。ライバルたちの手綱が動き始めた勝負どころの下り坂でも、小柄な馬体の手応えは抜群。あとは前の馬をかわしていくだけだった。類いまれな体幹力と持久力がなせる、まさに“道悪の鬼”たるレースぶりだった。 のべ10頭目の挑戦でG1初制覇となった吉岡師は「正直、まだ信じられないくらいうれしいです。今回はチャンスがあると思っていた。運も向いたと思います」と天も味方した。勇退解散の美浦・中野栄治厩舎から引き継ぎ、3戦目で結果を出した。「1つG1を取れて、1つ恩返しになった」と感謝も忘れなかった。地元京都での初G1制覇には「すごく縁を感じます」と笑顔を見せた。 今後は馬の状態を見ながら、秋は国内に専念する方針を岡田オーナーは示した。5戦連続でコンビを組む菅原明騎手は「乗せ続けていただいて関係者の方々には感謝の気持ちでいっぱいです。自分もまだ学ぶことも多いですし、この馬と一緒に成長して頑張っていけたら」と、さらなる期待を込めた。小さな体に秘める可能性は無限大。まだまだ勝利のホーンを響かせていく。【奥田隼人】 ◆ブローザホーン ▽父 エピファネイア▽母 オートクレール(デュランダル)▽牡5▽馬主 岡田牧雄▽調教師 吉岡辰弥(栗東)▽生産者 岡田スタツド(北海道新ひだか町)▽戦績 21戦7勝▽総獲得賞金 4億8537万3000円▽主な勝ち鞍 24年日経新春杯(G2)▽馬名の由来 その角笛を吹け