熊本地震の教訓 愛知・豊橋の被災地派遣職員が活動報告
市関係者や一般市民ら106人を前に報告
熊本地震の教訓 愛知・豊橋の被災地派遣職員が活動報告 THEPAGE愛知
熊本地震の被災地に派遣された愛知県豊橋市の市職員4人による活動報告会が17日、同市役所講堂であった。市関係者や一般市民ら106人を前に報告。避難所運営サポートやライフライン復旧などの活動を振り返り、被災者への精神的ケアの重要性や、支援受け入れ体制の構築など、活動経験から得た災害への備えについて、意見を述べた。
「赤ちゃんがえり」の症状になったりするケースが目立つ
このうち、熊本地震の本震で震度6強の揺れを観測した熊本県宇土市に、4月19日から1週間派遣された保健所健康政策課の藤田進専門員と健康増進課の加藤寿子主査は、避難所での健康相談活動や、衛生対策などを報告した。 加藤主査は、被災地に必要な支援と、災害に見舞われる前に構築すべき体制について「ストレス軽減の対策が重要」と話した。被災地では、大きな余震がいつくるか分からないという不安や、慣れない避難生活による不眠などでストレスがたまり、血圧が高くなる人が多かったという。 さらに同14日の前震や同16日の本震など、強い揺れを自宅で体験した子どもらは、その後自宅に入ることを嫌がったり、今までできていたことをできないといって親に甘える「赤ちゃんがえり」の症状になったりするケースが目立った。「建物や道路などの被害より、住民の精神的な被害が大きい」と振り返った。
日々改善された運営方法の一例挙げ
避難所の運営については「避難所に届く物資が当初仕分けされない状態だったが、学生ボランティアが紙おむつのサイズ分けをして、紙に貼りだしてくれた」など、日々改善された運営方法の一例を挙げた。 また、室内用スリッパとトイレ用スリッパが似たタイプで、混在すると「衛生上良くない」として、全てのスリッパを消毒。トイレ用スリッパは別のタイプにしたことなども紹介した。 そのほか今後に生かせるポイントとして藤田専門員は、学校の教室を避難所とする場合、授業再開の際に避難者の移動などで混乱が起こることがあるとして「1つの建物内で、避難所として使う場所を事前に決めておくと、再開に向けた調整がしやすい」と指摘した。 さらに、「現地職員の中には30何時間も作業に追われる人もいた。被災後に応援スタッフを受け入れる場合のルールを作っておくと、引き継ぎがスムーズに行くのでは」とも述べた。
日頃からの備えが大切だと痛感
水道復旧作業のため、4月28日から5月9日まで、熊本市内で活動した豊橋市水道管路課の中西紀仁主査は、全国52自治体が応援に駆けつけたことや、活動拠点を置く場所設定に苦労したことを振り返り「応援チームを受け入れる側が、事前に受け入れマニュアルを整備しておくなど、日頃からの備えが大切だと痛感した」と話した。 豊橋市民病院の鈴木伸行医局長も、災害派遣医療チーム(DMAT)の一員として活動。医療体制について報告した。 (斉藤理/MOTIVA)