昨季4勝のみも…モデルチェンジに成功して最多勝狙える「巨人の右腕」は
かつての球団エースの分析
現役時代に巨人のエースで通算203勝をマークした野球評論家の堀内恒夫氏は、菅野が復活した理由について、週刊ベースボールのコラムで以下のように分析している。 「大変身の理由として、今季から監督に就任した阿部慎之助の配慮も見逃すことができない。昨季とは異なり、中6日で先発した菅野をほとんどの場合、100球程度を目安に、無理をさせずに投げさせている。その結果、ここ数年ケガに泣かされ続けた菅野の体調は万全なものになった。もうひとつは菅野の持ち球であるスライダーの使い方に大きな変化が見られるということ。今季は球速の落ちた真っすぐに見切りをつけて、スライダーで投球を組み立てるようになった。加えて得意のスライダーを各打者のインコース、アウトコースへ投げ分けるテクニックを身に付けている」 「例えば右打者のアウトコースだけでなく、インコースのボールゾーンからストライクゾーンへ入り込む“インスラ”を投じるようになった。左打者に対してはインコースへ食い込むだけではなく、アウトコースのボールゾーンからストライクを取りにいく“外スラ”を駆使するようにもなった。高度な投球術によりスライダーを投げ損なうミスがほとんどなくなり、今季の好結果を引き出したと言える。スライダーを多投する今季の菅野は、『抑えるときもスライダー』『打たれるときもスライダー』という昨季とは大きな投球パターンの変化が見られるようになった。しかも、真っすぐとスライダーの割合も6対4程度となり、スライダーの球数が急増している。すべてのスライダーを勝負球に使うことが可能になれば、昨季まで懸念されていた『立ち上がりの不安』も解消される」 菅野の活躍は、戸郷翔征、山崎伊織のダブルエースや若手投手たちにも良い刺激になるだろう。勝負の夏場で白星をいくつ積み重ねられるか。15勝をクリアし、自身4度目の最多勝は達成可能な目標だ。 写真=BBM
週刊ベースボール