近年稀に見る大接戦。プレミアリーグの優勝争いを福西崇史が解説「苦しい状況でも点を取れる存在は大きなアドバンテージ」
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。 そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる! 第91回のテーマは、プレミアリーグの優勝争いについて。勝ち点1差の間にアーセナル、リバプール、マンチェスター・シティが並び、近年稀に見る大接戦となっているプレミアリーグ。3クラブの現状と、優勝争いの行方について福西崇史が解説する。 * * * プレミアリーグも残り10節を切り、いよいよシーズンも佳境を迎えます。そのなかで優勝争いは現在首位のアーセナル(勝ち点64)、2位のリバプール(勝ち点64)、3位のマンチェスター・シティ(勝ち点63)の3クラブに絞られたと思います。 勝ち点1差のなかに3クラブがいるという近年稀に見る接戦となり、どこが優勝するかは現時点ではまったく予想がつかないという非常に面白いシーズンとなっています。 得失点差で首位に立つアーセナルは、リーグで現在8連勝と絶好調。8試合で33得点と圧倒的な攻撃力を発揮しています。昨季も優勝争いに絡んだアーセナルですが、今季のチームはより戦い方の幅が広がり、対応力が上がったと思います。 そのチームの進化に大きく影響しているのが、今季加入したデクラン・ライスとカイ・ハヴァーツの存在でしょう。 まず守備範囲が広く、ボール奪取能力の高いライスが入ったことによって守備が非常に安定しました。それをベースにジョルジーニョやマルティン・ウーデゴールの守備の負担を減らし、より攻撃面で良さを引き出すことができています。 ハヴァーツはシーズンの序盤こそフィットに時間がかかりましたが、点を取り出してから自信も取り戻して欠かせない存在になっていきました。インサイドハーフやトップに入って、昨季のアーセナルにはなかった前線の高さをもたらして、ターゲットができたことで攻撃の選択肢を広げていると思います。 チームはほとんど20代前半から中盤の選手で構成され、非常に若さという勢いがあり、それに加えて経験も備えてきました。その若さと経験の融合のバランスが一番良いのがアーセナルだと思います。