公開進まない政務活動費 インターネットで領収書公表は全国わずか50議会
地方議会の議員には、調査研究やその他の活動経費として「政務活動費」が公費として支給されています。2014年には、兵庫県議の多額な交通費請求による不正利用が全国的に注目を集めました。その後も、昨年は富山市議会で不正受給が発覚し、大勢の議員が辞職するなど、政務活動費の問題は各地で後を絶ちません。 地方議員の政務活動費の公開状況はどのようになっているのか。早稲田大学マニフェスト研究所が実施した「議会改革度調査2015」の結果からみていきます。
政務活動費インターネットで領収書を公開しているのは全国50議会
政務活動費は、2012年に地方自治法(第100条14項)改正で、それまで調査研究に限られていた「政務調査費」の名称を変え、使途を拡大。各自治体が条例で詳細を定め、導入しています。 では、地方議会の政務活動費の現状はどのようになっているのでしょう。「議会改革度調査2015」によると、回答があった全国1460議会のうち、政務活動費を支給しているのは60%にあたる876議会ありました。これら政務活動費を支給している議会のうち、領収書について「請求がなくても公開している」のは31%でしたが、「請求すれば公開」と答えたのは倍以上にあたる65%、「非公開」は4%でした(グラフ1)。さらに領収書を「インターネットで公開している」のは50議会(6%)と、少数でした。
都道府県では大阪府議会と高知県議会のみ
ちなみに過去2回(2013、2014年度)の政務活動費に関する調査結果の比較では、「請求すれば公開」の回答が、2013年度(75%)から10ポイント減っているものの、「インターネットで公開」は、2013年度の2%から4ポイントとわずかな少々で、領収書公開に向けた取り組みは、全体的にまだまだ鈍いといえます。 また、インターネットで領収書を公開している議会のうち、2014年度までは都道府県、政令市とも一カ所もありませんでしたが、2015年度は大阪府議会と高知県議会の2議会が実施、政令市は大阪市会、神戸市会の2市議会が始めました。東京23区では、世田谷区議会のみインターネット公開をしていますが、市議会(政令市除く)は、2013年度13議会、2014年度21議会、2015年度38議会と、少しずつ数を増やしています。町議会はインターネット公開が2015年度7カ所あり、村議会はゼロでした。