『北の国から』中嶋朋子が小学生で知った「大人もケンカしたり、滑り台を楽しんだりするんだ」北海道ロケの記憶
中嶋さん:はい。とくに邦さんは、私たちとのコミュニケーションをどうとるか悩まれたとは思いますが、対等に接してくださいました。子どもながらにそれがわかったので、頑張りたい気持ちになりました。
■過酷な大自然「大人たちのむき出しな姿」を目にして ── 何日も帰れず、大自然の中で撮影。現場はどんな雰囲気でしたか? 中嶋さん:撮影現場がハードなので、大人があからさまに疲弊していって、本当の姿がむきだしになっていくのを目にしたのは、いい経験になりました。
大人ってちゃんとしているものだと思っていたけど、全然、ちゃんとしてないんです(笑)。いきなりワーって喧嘩がはじまったり、すごく無邪気になったり。 そんななかでも、あたたかくて、つねにみんなのことを考えられる人もいました。人間観察ができたというか、あの体験は面白かったです。そんな過酷な中で、自分も一緒に闘っている意識を持っていました。 ── 小学生低学年にして、大人の意外な一面を見てしまったんですね(笑)。
中嶋さん:なんかね、洗濯物を40日間分ためて段ボールに詰めて、お母さんに送っている人がいたんです。 えっ、大人なのにお洗濯できないの?ってびっくりして、まわりも「おまえいい加減にしろよ」とか言うわけですよ(笑)。子どもたちに指導する立場の大人なのに…面白いですよね。 撮影の合間に、雪をかためて滑り台を作ってみんな遊んだりもしました。大人がそんなことするとは思ってもみないから、大人も子どものように無邪気なんだなーって発見になりました。
── 自然環境以外に大変だと感じたことは? 中嶋さん:設定上、難しいことを要求されたことかな。吉岡君は演技でも相当難しいことを求められて、それができる子だったのですが、私は小さいとき、わりとそのままを求められました。 でも、設定上、お母さんになかなか会えなくて、お父さんと別の絆があって…と言われてもなかなか理解できないんですよ。ほかには、ドラマはいろんなシーンをばらばらに撮影してあとで切り貼りして編集しますが、その間、ずっと同じ気持ちを保ち続けるのも難しかったですね。
PROFILE 中嶋朋子さん 東京都出身。2歳から劇団ひまわりに所属し、5歳の時にデビュー。ドラマ『北の国から』シリーズで、主人公の娘・蛍役。映画『つぐみ』ではブルーリボン賞助演女優賞を受賞する等、数々の映画・ドラマ・演劇作品で活躍。朗読劇にも力を入れており、この3月に本人プロデュース『カミサマノ本棚』を上演。 取材・文/岡本聡子 写真提供/中嶋朋子、砂岡事務所
岡本聡子