【大学野球】慶大の恐るべき代打成功率 指揮官は「自信をつけさせるように練習から取り組んでいる」
自信を持って打席に送り出す
【5月5日】東京六大学リーグ戦(神宮) 慶大4-4立大(慶大1勝1分) ※連盟規定により9回打ち切り 2019年12月から母校・慶大を指揮する堀井哲也監督の記憶力は、ものすごいものがある。 この春、慶大は2本の代打本塁打が出ている。法大2回戦では二宮慎太朗(3年・慶應義塾高)が同点ソロを放ち、逆転勝利につなげた。法大3回戦では1対1の12回裏に1年生・渡辺憩(慶應義塾高)がリーグ戦初打席でサヨナラアーチを放った。立大1回戦を控えた試合前練習。選手起用がズバリと当たる背景を取材すると、堀井監督は「すべては、選手の努力の賜物」と言うと、こう続けた。 「就任から9シーズン目で(代打本塁打は)5本なんです」。すべての状況が頭に入っており、スラスラとエピソードも出てきた。2020年春の早大1回戦で藤元雄太(当時4年・慶應義塾高)が7回表に勝ち越しソロを放ち、9回裏に追いつかれるも、延長10回タイブレークの末に勝利。21年秋の明大2回戦で北村謙介(当時3年・東筑高)が1点ビハインドの9回表に同点ソロで、引き分けへと持ち込んだ。さらに、23年春の法大2回戦では村上真一朗(当時4年・城北高)が9回表の逆転2ランで勝利した。代打本塁打は、通算で「4勝1分」と神がかっている。しかも、5人全員がリーグ戦初安打だった。
慶大は立大1回戦で先勝。2回戦は劣勢の展開だった。2点ビハインドの5回裏一死一塁から代打・権藤大(3年・慶應義塾高)の一塁線を抜ける右前打でチャンスを広げ、二死一、三塁から代打・福井直睦(1年・慶應義塾高)の二塁内野安打が適時打となり、1点をかえした。いずれもリーグ戦初安打だった。なおも、一、二塁から横地広太(2年・慶應義塾高)の中前適時打で2対2に追いついた。
この日はプロ併用日のため、連盟規定により9回打ち切り。立大は9回表、ソロ本塁打と適時打で2点を勝ち越した。しかし、慶大は粘る。9回裏一死からリーグ戦初出場の今津慶介(2年・旭川東高)が中前打で出塁。次打者が倒れ、二死となったが、途中出場の佐藤駿(3年・慶應義塾高)の右中間三塁打で1点差とする。続く代打・渡辺憩は2ボール2ストライクからの5球目、三塁線を破る二塁打で、土壇場で同点とした。窮地から4対4の引き分けに持ち込んだのである。