暗号資産業界はアメリカとその他に二分される:BitMEXのCEOが指摘
暗号資産(仮想通貨)取引所ビットメックス(BitMEX)のCEO、ステファン・ルッツ(Stephan Lutz)氏は、シンガポールで開催された「トークン2049」でのインタビューで、アメリカの暗号資産市場は、規制環境や顧客ニーズの違いにより、世界中の他の市場とは異なる道をたどり、伝統的な金融(TradFi)との統合が進むだろうと述べた。 「アメリカの暗号資産産業は、暗号資産と伝統的金融(TradFi)を統合する方向に舵を切るだろう」とルッツ氏は述べた。「コインベース(Coinbase)やサークル(Circle)、クラーケン(Kraken)を見れば、彼らは基本的に、伝統的金融システムのデジタル版となる方向にどんどん進んでいることが分かるだろう」。 ルッツ氏はこれを「分岐」と呼び、アメリカの暗号資産事業者は国内の顧客に焦点を当てる一方で、その他の国の企業はアメリカ市場から撤退するだろうと述べた。ビットメックス自体はアメリカで事業を展開しておらず、7月に銀行秘密法違反と、2015年から2020年の間に適切な顧客確認(KYC)とマネーロンダリング防止(AML)プログラムを設置しなかった罪を認めた。2022年には、共同創設者のアーサー・ヘイズ(Arthur Hayes)氏、ベンジャミン・デロ(Benjamin Delo)氏、サミュエル・リード(Samuel Reed)氏がマネーロンダリング規則違反で合計3000万ドル(約43億5000万円、1ドル=145円換算)の罰金を科されている。 その代わり、ビットメックスはアジアでより目立つ位置づけにあるとルッツ氏は述べた。同氏は以前、ドイツ最大の証券取引所の運営会社であるドイツ取引所に勤務した後、PwCのパートナーを務めていた。 ルッツ氏は「この業界は、アメリカで何年も前から特定の問題に関する法規制を求めてきた」と述べたが、11月の大統領選挙前に上院で暗号法規制が可決される可能性については楽観視していない。「アジアの市場は、アメリカの混乱に乗じて利益を得るだろう」。