突っぱねる警護処、尹錫悦逮捕を阻止すれば「内乱守備隊」に転落
尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の逮捕状の執行が秒読みに入り、大統領警護処が選択の岐路に立たされている。警護処は一貫して「適法な手続きに基づく大統領の身辺警護」を強調してきたが、これを名目に実際の逮捕状執行を阻んだ場合、「内乱守備隊」という汚名を免れないという指摘もある。 警護処の関係者は2日、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の逮捕状執行と関連し、「適法な手続きに則って警護措置が行われるという立場に変わりはない」とだけ述べた。野党「共に民主党」がこの日、「警護処が保護しようとする対象は内乱首謀者と名指しされた者で、(尹大統領の逮捕に協力しなければ)内乱同調行為と判断されるほかない」(ノ・ジョンミョン院内報道担当)と圧力を加えたにもかかわらず、従来の原則的な立場を明らかにしたのだ。 警護処は先月31日、裁判所が尹大統領の逮捕状を発付して以来、このような立場ばかりを繰り返し表明している。しかし、警護対象者の保護を「存在理由」に掲げている機関の特性やこれまで示してきた態度から、警護処が逮捕状の執行を阻止するというのが大方の予想だ。パク・ジョンジュン警護処長は警護処のホームページでの挨拶で、「大統領警護処は警護対象者の絶対安全のために存在する」とし、「今後も大統領警護処は本来の任務を忠実に遂行し、警護対象者のすべての瞬間を守り抜く」と述べた。実際に警護処は「韓国科学技術院(KAIST)卒業生口塞ぎ事件」と「尹大統領の軍ゴルフ場ラウンド」が物議を醸した際、批判する卒業生と取材陣に対する過剰対応で波紋が広がると、「マニュアル通りに行動した」という立場を貫いた。 「警護対象者」である尹大統領側が「逮捕状執行は法的根拠のない違法行為」だとして、頑強に抵抗しているのも、警護処が逮捕状執行の阻止に乗り出すだろうと予想される要因だ。尹大統領の弁護団であるユン・ガプクン弁護士はこの日「万が一、警察機動隊が公捜処に代わって令状の執行に乗り出すならば、職権乱用および公務執行妨害罪の現行犯で警護処はもちろん、あらゆる市民によっても逮捕されうる」と主張した。 パク処長が「12・3内乱事態」への関与を疑われているのも、強硬対応の可能性を高める要因の一つだ。パク処長は先月3日、非常戒厳宣言の約3時間前に尹大統領とチョ・ジホ警察庁長、キム・ボンシク・ソウル警察庁長と行った「三清洞(サムチョンドン)安全家屋会合」の連絡係とされ、参考人として警察の取り調べを受けた。ただし警護処は「パク処長は非常戒厳と関連した内容を全く認知していない状態で連絡を取った」として、内乱との関連性を否定している。 警護処としては、逮捕状の執行を防ぐ法的根拠がないうえに、実際に令状を阻止した場合、法的処罰を免れないため、非常に困難な立場に立たされている。公捜処はすでに「逮捕状の執行を妨害すれば関連者を職権乱用と特殊公務執行妨害罪で処罰しうる」という警告公文書を警護処に送った。民主党側も、警護処が逮捕状の執行阻止に乗り出した場合、パク処長などに対して内乱謀議、2次戒厳の疑いを適用し告発すると公表している。 処罰の可能性にかかわらず、警護処が内乱を援護したという汚名を着せられるという点も負担だ。特に逮捕状の執行過程で官邸周辺に集まった大統領弾劾に対する賛成・反対支持者同士の物理的衝突が発生する可能性もあり、警護処の苦悩は深まっている。 イ・スンジュン、キ・ミンド記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )