年収800万円で、子どもは「奨学金」で進学します。多子世帯や低年収世帯は私の払った税金で「タダ」で大学に行けるのって不公平じゃありませんか?
現行の大学無償化の制度では、低所得世帯を対象に支援を受けることが可能です。また、2023年12月、政府は多子世帯(3人以上)を対象に大学無償化という方針を打ち出しました。そのため、該当しない世帯の場合、不公平さを感じることもあるのではないでしょうか。 そこで本記事では、低所得世帯・多子世帯に向けた大学無償化が実際はどのようなものなのか、詳しい制度内容を説明していきます。 ▼「住民税非課税世帯」や「多子世帯」は無料で大学に行ける? 無償化の要件を確認
高等教育の修学支援新制度とは?
現行の大学無償化制度とは、「高等教育の修学支援新制度」のことを言います。この制度は、世帯収入や資産など一定の要件を満たすと、給付型奨学金が支給されたり授業料が減免されたりするというものです。給付型奨学金の支給額や授業料の減免額の上限は、世帯収入によって3段階に分かれます。また、世帯収入の目安は、世帯構成(兄弟の数や年齢など)等の条件によって異なります。 まず、給付型奨学金は、返済の必要が一切ない奨学金です。住民税非課税世帯の場合、「国公立の大学で自宅通学は年間約35万円、自宅外通学は年間約80万円」「私立の大学で自宅通学は年間約46万円、自宅外通学は年間約91万円」が支給されます。 次に、授業料の減免制度では、入学金や授業料の減免を受けることが可能です。住民非課税世帯の場合、「国公立大学で入学金は約28万円、授業料は年間約54万円」「私立大学で入学金は約26万円、授業料は年間約70万円」を上限に減免されます。
多子世帯(3人以上)は大学無償化とは?
昨年末に「多子世帯は大学無償化」というニュースを耳にした人も多いでしょう。これは2025年度から始まる大学無償化制度のことで、扶養している子どもが3人以上いる多子世帯を対象としたものです。 この制度では、現行の無償化制度のような所得制限はありません。該当する世帯は「国公立大学で入学金は約28万円、授業料は年間約54万円」「私立大学で入学金は約26万円、授業料は年間約70万円」を上限に支援を受けることができます。 ただし、ただ単に子どもが3人いるだけでは、大学無償化の対象にはならないことに注意が必要です。この制度は、扶養されている子どもが3人いる場合のみ対象となります。つまり、子どもが3人いても、第1子が扶養から外れた時点で、第2子・第3子は無償化の対象から外れてしまうのです。 例えば、第1子が大学1年生で、第2子は高校生3年生、第3子は中学3年生だとします。第1子は大学1年生から4年生までの4年間、大学無償化の対象となります。しかし、第2子は大学1年生から3年生までの3年間のみ、無償化の対象となります。 というのも、第2子が大学4年生になった時点で、第1子は扶養から外れてしまうからです。第3子にいたっては、大学1年生になった時点で、第1子は扶養から外れてしまうので、一切大学無償化の恩恵を受けることができません。