おいしそうなオムライスの絵…が、作品の完成に驚きの意図が!作家の真意はさらに深く→理解を深めるきっかけにして
オムライスの絵の作品について、作家が解説
フクサワさんは、自身のオムライスの作品について以下のように解説してくれました。 「この作品は『美術作品への攻撃』という事象に対して『攻撃されても良い作品・そうされることで完成・成立する作品を作る』という表層的にわかりやすいストーリーがあり、それも手伝ってSNSで話題になったと考えていますが、これはあくまで衆目を集めるにあたっての表面的なフックでしかありません。 この作品を見た人の中には反射的に『有名作品だから攻撃されるのであって、無名な作品じゃ意味がない』『ただ揶揄しているだけの揚げ足取りだ』と思われる方々もいるかもしれません。 そんな方々にこそ、本作の真意や背景にある『エコテロリズム』の現状について深堀りされることをお勧めしたいところです。 本作の真意をご理解いただくには、まず前段階として活動家の抗議活動がどういった意図で画策され、なぜ芸術作品を対象に攻撃しているのか、その辺りの文脈を抑えていただいた方が良いでしょう。 例えば環境問題と美術館の関係性、アメリカ公民権運動の非暴力不服従を源流にするアートへの非暴力的直接行動といった背景をご存知でない方は、まずは簡単に検索して調べてみると、この問題に対する理解の解像度が上がるかと思います。 なぜ攻撃対象が美術作品なのか・美術作品である必要性はあるのか・対象としての適切性はあるのか・過激な行動が話題になることで逆に共感が得られなくなるリスクがあるのではないか・話題性と共感性を両立する抗議の手段としてより適切なものはないのか、様々なレイヤーから自分なりにこの問題を考察したり議論を重ねることも、本作の真意を理解する助けとなるでしょう。 本作は単に芸術作品を攻撃することによる抗議活動を風刺するのではなく、作品自体が衆目を集めることで抗議活動やその背景を知り議論するきっかけの一端になり得ると考え、制作・発表しました。 もちろん、現状のこの作品はSNSでちょっと話題になった程度であり、『ひまわり』や『モナリザ』のような芸術的価値はなく、実際にこの作品が権威ある美術館に展示されることも、ましてや抗議活動の攻撃対象と見なされることもないでしょう。その点だけを切り取ればコンセプトだけの出落ち作品で、揚げ足を取っているだけのようにも見えるでしょう。 ですが、この作品が話題になり、この作品自体に様々な関心・感想が寄せられ批評が生じることで、その前提にある抗議活動にも注目が集まり、結果この作品が諸問題について議論する種になる。それだけでも本作が存在する価値はあると言えるでしょう。 そしてこの先、万が一この作品が世界的に有名になり、なんやかんやで将来的に芸術分野で高く評価され、あわよくば権威さえ纏うことがあれば、話題性のある攻撃対象としても適任で、作品側としてもトマトソースをいただくことで『完成』することができ、さらに既存の偉大な芸術作品も護ることができ、三方よしでWin-Winな状況を作ることができる可能性も微レ存なはずです。 いずれにしてもこの先どう転ぶかに関係なく、こうしてニュースメディアで取り上げられるなど、この作品が一定程度話題になり、この作品にどんな意味があるのかないのかの議論が生じている時点で、既にこの作品は真の価値を発揮し少なからずその役割を果たしていると言えます。 本作は一見すると彼らの抗議行動を揶揄する批判的な作品であるようで、文脈を辿れば彼らの抗議行動に呼応する形で生まれた作品であり、見方によれば抗議行動が波及した延長の産物ともいえ、俯瞰的には彼らが巻き起こしているムーブメントの末端の一部と捉えることもできるかもしれません。 本作に興味を持たれた皆さまはぜひともこれを機に一連の抗議活動の経緯や顛末、そして識者らからどのような批評がなされているのかを深堀りし、様々に議論し、各々の理解を深めるきっかけにしていただければと存じます」 (まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・今田 哲平)
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