400万円オーバーは高い?安い? 今や希少なFFホットハッチ! 25周年を迎えたフォルクスワーゲン・ポロGTIの走りをチェック!! ゴルフGTIとの違いは?
フォルクスワーゲン(VW)の走りのトップを担うのは「R」に譲られて久しいが、その元祖であり長年にわたりスポーティイメージを牽引してきたグレードは紛れもなく「GTI」だ。特にVWのボトムラインにあるポロは、現行モデルにRを冠した「TSI R-Line」こそラインナップされるものの、むしろ走りにおいてはGTIこそ本命。ゴルフより小さく軽いボディにゴルフGTIと同型のエンジンを搭載したその走りはどのようなものか?ゴルフGTIとはどのような違いを見せるのか?山田弘樹が読み解く! REPORT:山田弘樹(YAMADA Kouki) PHOTO:MotorFan.jp/VW 【画像】フォルクスワーゲン・ポロのトップグレード「GTI」の走りやいかに!?
スモールボディにパワフルなエンジンの"ホットハッチ"
ポロGTIの魅力は、ゴルフよりも一回り小さなボディにハイパワーなエンジンと、強化されたシャシーを組み込んだことで得られる走りの楽しさだ。モデルチェンジごとにサイズアップして行くのが常の世の中で、3ナンバー枠になったとはいえ「かつてのゴルフサイズ」を思い起こさせるポロGTIのサイズ感は、走り好きには理想的に映るだろう。 エンジンは現行四代目(ポロとしては六代目)からその排気量がアップサイジングされ、ゴルフGTIやゴルフRと同じ2.0L直列4気筒ターボとなった。そのアウトプットは最高出力が207ps/4600-6000rpm、最大トルクが320Nm/1500-4500rpmと、ゴルフGTIよりも38ps/50Nmほどデチューンされている。 しかし車重は120kgほど軽いから、その走りはかなり軽快。パワー・ウェイト・レシオで比較するとゴルフGTIの約5.8kg/psに対してポロGTIは6.3kg/psだから、確かに加速力では兄貴分に一歩譲る。しかしだからこそ踏み切れる楽しさがポロGTIにはあり、それが極めてホットハッチ的である。またコーナーアプローチにも、軽さが生きてくる。 そのエンジンサウンドも、ゴルフより遮音が効いてないせいだろう、割と野太く車内に響いてくる。そしてこれが、むしろやる気にさせる。 7速DSGのクラッチミートはやや保守的で、スポーツモードではもう少しダイレクト感を出してもよいと思う。またマニュアルモードに入れてもリミット付近でシフトアップしてしまうのが、少し残念だ。しかし相変わらずデュアルクラッチの変速スピードは素早く、このトランスミッションがあってこそ、パワーに頼らずとも直列4気筒ターボの魅力が最大限に引き出されているのだとわかる。 対するシャシーは、乗り心地がかなり硬めだ。試乗車はオプションのスポーツセレクトパッケージを装着し、その足下に18インチタイヤを履かせていた。これによってダンパーは2段階で減衰力を可変することが可能になっているのだが、その乗り心地はノーマルモードでも明らかに硬い。 ただしその分だけ、ポロGTIのコーナリングパフォーマンスはかなり高い。 ワインディングではフロントサスがブレーキング時の荷重をガッチリと受け止め、ターンインでノーズをコーナーへとねじ込む。XDS(内輪ブレーキによる電子制御デフ)の制御が場面によってはやや人工的だが、全体的には実に良く曲がる。その際リアサスの接地性は、トーションビームながらもきちんと保たれている。 ポロという名前だけで小さいボディをイメージしがちだが、3ナンバーとなったことで、実は中速以上のコーナーも大いに得意だ。 コーナリングコンシャスなセットのせいか、直進性はゴルフGTIほど高くない。しかしひとたびハンドルを切り始めれば、手の平に素晴らしい操舵フィールが伝わってくる。 そこに2.0Lターボの加速と7速DSGの変速が加わると、得も言われぬ充実感が味わえる。この一体感の高さが、ベースのポロが今もってクラスを超えたボディ剛性を維持し続けている証拠だ。そしてこれこそが、他のクルマでは得がたいポロGTIの、最大の魅力だと筆者は思う。