なぜ東京Vは攻めあぐねても5バックの清水を相手にロングボールを放り込まなかったか【J1昇格プレーオフ決勝】
そこには指揮官の信念が…
東京VがJ1昇格を果たした清水戦は、城福監督の信念を示す試合でもあった。 立ち上がりから苦しい展開を強いられた東京Vは後半に入ってもそこまでリズムを掴めず、63分にチアゴ・サンタナのPKで失点。相手が4-2-3-1から5-4-1とシステム変更したこともあり、強引にロングボールを蹴り込む可能性もあると、おそらくそう考えたファン・サポーターはいただろう。 【PHOTO】16年ぶりのJ1昇格!国立で選手を後押しし続けた東京ヴェルディサポーターを特集!(Part1) 実際、74分にはFWの山田に代えて188センチの綱島を前目のポジションで起用した。綱島の高さを生かす攻撃を展開しても不思議はなかったか、東京Vがいわゆるパワープレーに移行することはなかった。 なぜリードされて、相手がゴール前の守備を固めた状態、しかも攻めあぐねていても、ロングボールを放り込まなかったのか。城福監督は試合後、こんなことを言っていた。 「ラスト1分になれば、もちろんパワープレーを選択します。ただ、それは我々らしくないんです。我々は辛抱強く幅を使ってボールを回しながらペナの中に入っていく。これを繰り返して、今季(J2で)勝点75を獲ったので、そういうメンバーを最後選んでピッチに送り出しましたし、中盤で戦うところ、しっかり我々がボールを回しながら入っていくところをやり抜いたことで最後PKを得られたと思っています」 やり方を変えないことが大事、その場凌ぎのサッカーで勝点を積み上げてもJ1では通用しない。そんな城福監督の信念が見えた。 取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)