大事なことを伝えるには「たったの15秒」でいい…アナウンサーが教える説明のコツ
テレビの世界では、説明を嫌う文化があります。なぜなら、「説明が長く続くと、チャンネルを替えられる」からです。つまり、「説明は面白くない」「好きじゃない」と多くの人は思っているということです。では、なぜ説明はつまらないと思われるのでしょうか? それは、感情が動かないからです。人は感情の変化を求める生き物です。説明にも、感情が動く要素が含まれていなければ聞いてもらえません。それだけに、「いかに説明を楽しく、聞きたいものにするか」というテーマと向き合ってきたのが、テレビの伝え方なのです。アナウンサーとして20年以上テレビやラジオの世界で仕事をしてきた石田一洋さんの著書『あなたの話はきちんと伝わっていますか?』から、伝わる説明のコツをご紹介します。
■聞き手が興味のあることを伝える テレビ番組は、常に視聴者を意識しながら構成を考えています。 リモコンのボタン1つで、「いつでも」「一瞬で」チャンネルを替えることができるため、最初から最後まで興味をひき続けられるような構成が求められます。 そのため、テレビ番組では、重要なことや面白いことから順に伝えていくことをセオリーにしています。 ニュースや情報番組は、冒頭で概要や結果を伝え、バラエティ番組でも最初に強いネタを持ってきます。このセオリーは説明においても鉄則です。
実際に説明する順番の決め方をケーススタディで考えてみましょう。 次のシーンは、取引先に挨拶に行ったときの場面です。 「あのー、先日弊社に発注いただいた機材について、ご報告なのですが……まず、この度、これまでお世話になっていた営業担当のAが異動になりまして、代わりにウチのエースといわれるBが担当させていただくことになりました。担当変更については、特にご心配いただく必要はないのですが、強いて言うならAが異動と同時に元々新婚旅行の予定を入れておりまして、引き継ぎに時間がかかる状況ではございますが、できるだけ速やかに行います。