【RISE】女子OFG戦に強すぎ大崎孔稀、諦めぬ横山典雄…「178」は個人的神回だった!
バトル担当をしていると、さまざまな格闘技の大会を高頻度で訪れることになる。感動する大会もあれば、ちょっと厳しい内容だったなと感じることもある。そんな中、19日に後楽園ホールで行われた「RISE178」は筆者にとって、ちょっとした“神回”だった。 筆者の心の中で、そんな気持ちが芽生え始めたのがこの試合あたりから。 ▼第5試合 スーパーフェザー級(-60キロ)3分3R延長1R ×横山典雄(日本/不死鳥道場/同級12位) 判定0-3 ○ジェイ・スノーデン(アイルランド/Prokick Gym、※ISKA推薦選手) 身長181センチのスノーデンが体格差を武器に、168センチの横山典に圧力をかけ続けた。しかし横山典はいくら良いパンチをもらってもなかなか倒れない。そしてパンチを返していく。 横山典は2Rにダウンを喫したが、その後も薄ら笑いすら浮かべながら、あくまで前進し、パンチを繰り出した。判定で敗れたもののスノーデンに鼻血を出させる健闘ぶり。横山典の気持ちの強さにファンは沸いた。 続いて ▼第6試合 ヘビー級3分3R ×MAX吉田(TEAM岡見/第9代インターナショナルマーシャルアーツ王者) 1R42秒TKO(右ストレート) ○武中秀武(魁塾中川道場) この試合は開始10秒で吉田がカウンターの左フックでダウンを奪った。しかし同36秒に武中が右ストレートでダウンを奪い返し、レフェリーがカウントの途中で試合を止めた。“同じ髪形”ということで、普段から筆者に話しかけてきてくれた吉田が敗れたのは少々残念だったが、ヘビー級のパワーを堪能させてくれた一戦だった。 さらに ▼第8試合 エキシビションマッチ2分2R 田丸辰(TRY HARD GYM/RISE WORLD SERIES 2023-54キロ王者)&大雅(TRY HARD GYM/第6代RISEスーパーフェザー級王者) VS フランクちゃん(タイ/TRY HARD GYM/ラジャダムナンスタジアムボクシング130P、135P王者) もともとフランクちゃんと戦う予定だったチャッピー吉沼が急性心筋梗塞で欠場。代わりにフランクちゃんと同じTRY HARD GYMの王者2人が“漢気(おとこぎ)参戦”し、熱のこもったエキシビションマッチをおこなった。特に田丸はフランクちゃんよりも階級が下のため、遠慮せずに強い打撃を当てていた。見ていてすごさが感じられるエキシビションだった。 そしてセミファイナル(第12試合)とメインイベント(第13試合)だ。順番は前後するが、まずこちらから。 ▼メインイベント(第13試合) SuperFight!オープンフィンガーグローブ(OFG)マッチ-50キロ契約3分3R 〇小林愛理奈(FASCINATE FIGHT TEAM/第3代RISE QUEENミニフライ級王者) 判定3-0 ×小林愛三(NEXT LEVEL渋谷/フライ級1位、初代RISE QUEENフライ級王者) OFGをつけての本気の殴り合いで、愛三は右目の周りを青黒く腫らした。インターネットの書き込みでは「痛々しい」という意見もあったが、筆者は感情を揺さぶられた。勝利のために必死に戦う姿は男女問わず美しいし、何より両者ともに「打ち合い上等」で、試合自体が面白かった。 そして ▼セミファイナル(第12試合) SuperFight!-58キロ契約3分3R延長1R ○大崎孔稀(日本/OISHI GYM/第8代RISEバンタム級王者) 2R1分49秒KO(左ボディ) ×ヨーブアデーン・3RDPlace(タイ/3RD Plece/元タイ国ラジャダムナンスタジアム認定・ミニフライ級王者) RISEが誇る最強「大崎兄弟」の弟・孔稀はやっぱり強かった。ビザの問題などで対戦相手が2度変更され、しかも2度目の変更時にはオーソドックス・スタイルのババヤンからサウスポーのヨーブアデーンへと変わった。孔稀がサウスポー対策の練習を行えたのはたった1日だけだったという。 しかも相手は元ラジャ王者で、孔稀が普段戦っている55キロより3キロも重い58キロ契約での試合だった。しかし2Rに強烈なボディへの連打でヨーブアデーンをKO。普段の優しい孔稀ではない、鬼神のような強さの孔稀をファンに見せつけた。 昨年12月にRISEバンタム級王者となってから初試合だった孔稀はマイクを握り「チャンピオンになって初戦、内容を見せないといけないというのはちょっと思ってて。相手が何回も変わったりしてたんですけど、やっぱり強いやつはどんな状況でも勝てるというところを見せられたんじゃないかなと思います。どうでしたか?」と笑顔でファンに問いかけた。 そして「話はちょっと変わっちゃうんですけど。RISE NEVER STOP(RISEは止まらない)、これで分かる方は分かると思います。あの出来事があってから僕は初めての試合で、ずっと、勝ってマイクで言いたいなと思ってたので言わせてください。多分、今日、会場に見に来てくれてると思ってるんで」と話すと、天に向かって「僕、強くなってたですよね? 強かったですよね?」と語りかけた。今年、急逝したRISEスタッフへの言葉だった。 続けて「これからはもう僕もチャンピオンとして進まないといけないので言葉には出さないですけど、僕の胸の中にはずっといますし、これからも見守ってくれてると思ってるんで。僕は、僕らしく、バンタム級チャンピオンとしてもっともっとRISEを盛り上げていくんで、これからも注目お願いします」と締めくくった。強さと優しさあふれるチャンピオンに大きな拍手が送られた。【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)