「官僚答弁を一言一句正確に読むだけだったので…」元外務省官僚・三好りょうが語る外相時代の岸田文雄
「アメリカに留学していたとき、自民党はなんでこんなに日本が悪くなる反日的な政策をやっているんだろうと疑問でした。あえて壊しているのか、バックに誰かいるんだろうと思い、調べてみると、統一教会(当時)とのつながりが深いことがわかったんです。 それで、外務省に入省したとき、将来は政治家になって自民党と統一教会について国会で取り上げると言ったんですが、外務省の人たちからは『陰謀論』と言われ、『そんなことやってどうすんの?』と笑われました。家族にも相手にされませんでした。 自民党議員が統一教会のいろんな会議に出席していることや、祝電を送っていることは事実としてあったのに、不思議でしたね。でも、’22年の安倍元首相の襲撃事件があり、外務省の人に『三好さんが言った通りだったね』と初めて言われたのは皮肉でした」 ◆「岸田さんは官僚答弁をそのまま読んでくれるので、悪い評判はなかったです」 ところで、官僚時代、外相だった岸田氏の印象はどうだったのか。 「官僚は共同記者会見などに際してあらかじめ記者の質問をかりとり、答弁を作って、それを大臣や総理などが読むんですが、岸田さんは官僚答弁をそのまま読んでくれるので、悪い評判はなかったです。態度の横柄さなどもありませんでしたね。 ただ、官僚答弁を一言一句正確に読むだけだったので、指導者としてのLeaderではなく、読むほうのReaderだと言ったら、先輩が『私たちの仕事は総理や大臣を操ること。書いてもいないことを言われて、問題が起きたときに対応するのは官僚だから。自分の感情も言いたいことも殺して、一言一句読んでいくのはなかなかできることじゃない。それはすごい能力だよ』と言っていたのを思い出します。 外務省の友人に岸田さんの大臣時代の印象を改めて聞くと『何も覚えてない』『印象がない』と言う人は多いですね」 とはいえ、総理になったことで、自分の言葉で発言している印象があるとも付け加える。 「総理になってからは、能登半島地震とか裏金問題とか、いろんな分野について質問されますよね。最近、れいわの山本代表が国会質問したときも、能登半島地震について意図を汲み取り、自分の言葉で話していました。 少なくとも官僚答弁を読むだけのときよりも、岸田総理自身の発言の方がいいと思います。 ただ、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との共同記者会見のときには、北方領土問題で、国連憲章の話題になり、岸田さんは答えられていませんでした。事前に準備できる答弁と違い、ラブロフからの話は想定外だったんでしょうね」 ◆「聞く力はあると思います。ただし…」 では、岸田首相の掲げる「聞く力」をどう見るか。 「聞く力はあると思います。ただし、庶民に対してではない。 外相時代は外務官僚の言うことを聞く、総理になってからはバックにいて組織票や組織献金をくれる経団連や宗教などの団体・大企業の言うことを聞くということではないかと僕は思います」 さらに、ネットで度々批判されている“海外へのバラマキ”については、誤解もあるとして、こう説明する。