「天下泰平の灯」点火 ── 大坂夏の陣終結から400年
大阪城天下泰平の灯THE PAGE大阪
「大坂夏の陣」終結から400年を迎えた7日、大阪市中央区の大阪城天守閣が夏の陣終結を記念する登閣証明書を来館者に無料配布。天守閣前本丸広場では、午後6時から大坂の陣後の大阪の発展をたたえ、末長い平和を祈る「大阪城天下泰平の灯」の点灯式が行われた。
かぶとのシルエットの登閣証明書
大坂夏の陣は1615年(慶長20)5月、豊臣方と徳川方が前年の冬の陣に続き激突した天下分け目の最終決戦。6日の道明寺・誉田(こんだ)の合戦などで、豊臣方は主力武将を失うなど消耗。7日は総力戦で臨んだが、徳川方の大戦力に敗北を喫し、大坂城は炎に包まれて落城した。 翌8日、豊臣秀頼と母の淀殿が自害し、豊臣家が滅亡。戦国時代に終止符が打たれ、徳川幕府が長期安定政権への足掛かりを築いた。 登閣証明書は手のひらサイズで、7日と8日の2日間、それぞれ先着5000人に配布。7日はかぶとのシルエット、8日は高麗橋擬宝珠のシルエットにデザインされた証明書で、記念日当日に登閣したことを日本語と英語で表記。登閣証明書は昨年12月、冬の陣終結記念日にも配布された。 広島県から夫婦で訪れた40代男性は、「戦国時代、西国には毛利という有力大名がいたが、天下統一を成し遂げた豊臣秀吉は立派だった」と秀吉にエールを送り、「再び起きた天下分け目の大合戦の記念日にめぐり合わせた」偶然に感謝しながら、証明書を受け取っていた。 夏の陣で豊臣家を守るため奮戦した真田幸村を高く評価。「真面目でいちずで、最後まで主君を裏切らなかった。今の時代、幸村の生き方はむずかしいが、なんとか幸村を見習って誠実に生きていきたい」と語り、隣で妻が頼もしそうにうなづいていた。
しぶとく徳川家に対抗していた豊臣家
天守閣前本丸広場では、大坂の陣400年プロジェクト実行委員会が7日夜、夏の陣後の大阪の発展をたたえ、永続的な平和を祈る「大阪城天下泰平の灯」の点灯式を開催。400個のあんどんで構成された「天下泰平の灯」が点灯された。 野外ステージでPR武将隊「大坂RONIN5」が華麗な演武を披露。大坂の陣をテーマに、北川央大阪城天守閣館長とシンガーソングライターのリピート山中さんが、トーク&ライブを展開した。 北川館長は近年の豊臣学の成果を報告。「関ケ原の戦い後、徳川政権が完璧に確立されたわけではなく、豊臣家は天下を失ってからも、特別な存在の大名として君臨し、二重構造を構築して徳川家に対抗。大坂の陣では民衆がろう城してともに戦った」と、豊臣家の健在ぶりに言及した。 「戦乱で壊滅的打撃を被るたびに、大阪は不死鳥のように復活してきた。素晴らしい文化財も、戦争になれば一瞬で破壊される。大阪人の浄財で再建された天守閣がいつまでも愛されるためには、永続的な平和が欠かせない」と、平和の重要性を強調した。 山中さんも秀吉の辞世の句を織り込んだ楽曲「さめやらぬ夢」などを熱唱し、平和の大切さを訴えた。よしもと新喜劇の内場勝則さんらが登場し、「大坂の陣新喜劇番外編」の上演告知が行われた。