小学男児ダンプにはねられ意識不明、通学路で見回り中の惨事…再発防止へ地域住民らに研修始まる
滋賀県野洲市行畑の市道交差点で3月、青信号で横断歩道を渡っていた小学生の男児(当時8歳)がダンプカーにはねられ、意識不明の重体となった。地域住民が「スクールガード」として見守る中での惨事に、市教育委員会は再発防止に向け、スクールガードの研修を開始。見守るだけでなく、子どもたちに自らが危険回避できる能力を身につけてもらおうと模索している。(藤井浩)
「スクールガード」の日課
「もうすぐ信号変わるよ~、はよ渡ってや~」 「おっちゃん、おはよう!」 6月7日早朝、野洲市永原の交差点。黄色いベストを着た栢木進市長(68)が横断歩道に立ち、小旗を持って、登校中の児童を誘導していた。子どもたちを見守る市の「スクールガード」としての日課だ。 栢木市長は「信号無視の車が目の前を走り去ったこともあり、こちらが青信号でも『車は突っ込んでくる』と思うようにしている。小旗を掲げる時もあえてオーバーにするんです」と話した。
赤信号に気づかず
野洲市では、地域住民がスクールガードとして毎日、登下校時に通学路で児童たちの見守り活動を続けているが、事故はその最中に起きた。 3月11日午後3時10分頃、横断歩道を渡っていた男児がダンプカーにはねられた。ダンプカーの運転手の男が自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕され、起訴された。 起訴状によると、男は手に持った携帯電話での通話に気をとられ、赤信号に気づかず交差点に突っ込んだとされる。
県警ОBが講師に
市教委は事故後、再発防止に何ができるかを模索し、計6小学校区に計約750人が登録しているスクールガードを主な対象にした研修会を5月から始めた。 交差点での子どもたちの行動を左右するスクールガードの役割を重視し、子どもたちに自ら命を守る意識を根付かせようという狙いだ。講師は元県警職員で交通畑が長かった大黒栄一さん(71)。市から委嘱されたスクールガードの「リーダー」でもある。