買った県で納税じゃない? 地方消費税の複雑な配分基準
地方消費税は「大都市偏重」との批判
それでも地方消費税は大都市偏重だと言われており、47都道府県の知事で構成される全国知事会は地方消費税制度をもっと不公平感が少なくなるように税制の改善を要望していました。そして、今回の見直しが行われました。 「地方消費税の算定基準の見直しは、あくまで都道府県間でどう調整・配分するかの話です。だから国や財務省、総務省が口を挟むことではありません。今回、算定基準が見直された理由は、これまで総務省統計局が算出するために用いてきたサービス業基本調査が廃止されたからです。替わりに、より実態に近い『経済センサス』活動調査の数字を使うことになりました」(同課) 経済センサスとは経済構造統計を作成するために、総務省・経済産業省が共同で事業所や企業を対象に行っている調査です。国内の経済活動を同一時点で網羅的に把握するという目的で、2009年に第一回の調査が行われました。 つまり、根拠にする統計の数字が変わったということなのです。合わせて、これまで8分の1ずつだった「人口」「従業員数」の比率をそれぞれ15%と10%にし、「従業員数」の比率を減らしました。新しい算出方法に切り替わると、広島県や福岡県などで地方消費税収が増えると見込まれています。他方で、愛知県や大阪府は減収になると予測されています。 地方消費税は都道府県税の2割を占める大きな財源です。また、そのうちの2分の1を県内の市町村に配分しています。都道府県の取り分が変われば、当然ながら市町村の税収にも変化が起こります。それらは年金や子育てといった社会保障の財源に充てられるので、市町村にとっても死活問題です。 税率ばかりに目が行きがちな消費税ですが、徴収した消費税がどう配分されて、どう使われているのか?きちんと使われているかどうかも納税者としては気にしたいところです。 (小川裕夫=フリーランスライター)