１回、レフトへ先制適時二塁打を放つ森下（４日）

　「ＤｅＮＡ０－４阪神」（４日、横浜スタジアム） 　阪神が好調だ。初回に森下が左翼線に先制の適時二塁打を放ち、球団歴代単独２位となる１０試合連続打点を挙げれば、五回には佐藤輝が２試合連続となる８号３ラン。今季４度目の猛打賞で自己最長を更新する１３試合連続安打、７試合連続マルチ安打で、チームは後半戦３カード連続勝ち越しの８勝１敗と快進撃を続けている。前半戦は貧打に泣かされる試合が多かったが、後半戦は９試合中６試合で２桁安打。激変の理由はどこにあるのだろうか。 　まずは初回得点の多さだ。昨年は全１４３試合で３８度、確率にして２６・６％を数えたが、４３勝４２敗５分けの貯金１で折り返した前半戦は、９０試合で１０度の１１・１％にとどまった。それがどうだ。後半戦は９試合中６試合と６６・７％の高確率だ。 　近本の初回出塁率が格段に上がっている。１番で先発出場した前半戦の第１打席成績は、６０打数１６安打、７四球の打率・２６７だったが、後半戦は８打数６安打、１四球と驚異の打率・７５０をマークしている。 　残り５３試合となった後半戦初戦を５－１で快勝した７月２６日の中日戦後、岡田監督は「もう勝ち負けですよ、後半はね」と前半戦とは戦い方が変わってくると語った。事実、近本が初回出塁した７度全てで中野に犠打を指示。また、中野が全てできっちりサインに応えることで流れをつないだ点も見逃せない。 　そして中軸の安定感ぶりだ。すくい上げるスイングがフィットせずに７月５日に２軍降格となり、同１９日に再昇格した森下は、以降の試合で４７打数１８安打の打率・３８３、３本塁打、１５打点。球団のレジェンドである藤村富美男、掛布雅之を抜き、球団単独２位の１０試合連続打点をマークしている。 　自己最長の１３試合連続安打中の佐藤輝はこの間、５３打数２４安打の打率・４５２、３本塁打、１３打点で、２試合連続本塁打、７試合連続マルチ安打が示すように今まさに絶好調。森下、佐藤輝と同様、不振から２軍調整となった大山も、後半戦は打率・２８１、２本塁打、７打点と調子は上向きだ。 　元阪神監督の藤田平氏は森下の復調ポイントについて「不調時は、体が反っくり返るように開いてバットが遅れて出ていた。さらに軸がぶれていたことでスイングもアッパー気味だったが、最近はレベルになりつつある。回転軸が真っすぐに修正されつつあるからバットのヘッドが出てくる。岡田監督のアドバイスが身につきつつあることが分かる」と解説した。 　また、後半戦に入り、前半戦では多く見られたボール球に手を出すというケースが少なくなってきている。打席内での立ち姿、ボールの見逃し方に技術、精神両面での安定と優位性を感じる。打てないボール、安打にしづらいボールには手を出さず、打てる確率の高いボールに各打者がスイングをかけられている。岡田監督がよく口にする「普通のことを普通にやる」ということができており、それが後半戦９試合中６試合での２桁安打という形になっている。 　９９試合を消化して、５１勝４３敗５分けで貯金は今季最多タイの「８」。現在は３位だが、首位・広島とは１・５ゲーム差で、球団史上初のリーグ連覇は射程圏だ。 　残り４４試合。やはりカギは広島か。セ・リーグで唯一、７勝８敗１分けと負け越している相手であり、本拠地・甲子園でも２勝６敗と苦戦を強いられている。直接対決は残り９試合。９日からの３連戦（京セラ）、２３日からの３連戦（マツダ）はいずれも週末開催。現在のローテ順でいえば、村上、大竹、西勇の登板が見込まれる。岡田監督は「勝負は８月、９月」と語っている。（デイリースポーツ・鈴木健一）