白血病発症から5年、ついに五輪へ! 池江璃花子 「奇跡の0.01秒」を生んだ不屈の肉体
5年間の苦悩が土壇場でその双肩に宿り、0.01秒の奇跡を生んだ。 3月18日に行われた競泳のパリ五輪代表選手選考会女子100mバタフライ決勝で池江璃花子(23)は57秒30で2位につけ、57秒31で3位に入った松本信歩(21)を指先の差で抑えて個人としては2大会ぶりとなる五輪への切符を掴んだ。 【画像】池江璃花子の美しい肉体美…!パリ五輪選考会で見せた「鍛え上げられた身体」 〈パリ行くよ!! 行けるよ!!〉 試合後に更新した自身のXには、万感の思いが込められていた。 池江が初めて五輪に出場したのは、今から8年前、’16年のリオデジャネイロオリンピックだった。当時まだ16歳の池江は、日本水泳界期待の新星として7種目に出場し、100mバタフライで5位入賞という偉業を達成した。次の東京五輪では表彰台へ――そんな目標を持って一人、オーストラリアの地でトレーニングに励んでいた’19年2月、池江を突然の病魔が襲った。白血病だった。約1年の闘病生活で、体重は15㎏も落ちた。狙えたはずの母国開催大会での個人メダル獲得は、諦めるしかなかった。それでも池江は前を向いた。絶対にパリへ――そんな思いで再び泳ぎ込み、食事管理を徹底し、筋トレで追い込んで肉体を作り上げた。 「池江はもともと、171㎝の長身と恵まれたリーチ、そして日本人離れした背筋力が武器でした。ところが、団体種目のみの出場にとどまった’21年の東京五輪では、療養前と比較してマイナス8㎏と、かなり上半身が薄くなってしまっていた。現在は療養前と比較してマイナス2~3㎏まで体重を戻し、泳ぎに力強さが戻ってきました。課題だったスタートから浮上するまでの15mのスピードが戻ってきているのも、筋力がついてきた証拠です」(スポーツライターの折山淑美氏) 池江の100mバタフライの復帰後最高タイムは、17日の五輪選考会準決勝で記録した57秒03。池江がリオ五輪で記録したものに近似している。再び自身の持つ日本記録56秒08に近づき、そしてそれを塗り替えるには何が必要か。ミュンヘン五輪金メダリストの田口信教氏が話す。 「”筋肉の持久力”にまだ改善の余地がある。バテないための筋肉をつけるには、低酸素トレーニングが効果的。池江がオーストラリアで取り組んできたハードな泳ぎ込みに、科学的なトレーニングが加われば、タイムはまだまだ伸びます」 世界の壁は厚い。パリで悲願の表彰台に上がるためには、全盛期でも到達したことのない55秒台が必須条件となる。 「池江は白血病を克服した強靭な精神力と、不屈の肉体を持っており、これから全盛期を迎えるはず。30代でも活躍する選手が多い中で、23歳の彼女はまだ成長する。五輪本番までの4ヵ月間で大きくタイムを伸ばすことだってあり得ます」(前出・折山氏) どん底から這い上がった”水の申し子”が、パリの舞台で飛翔する。 『FRIDAY』2024年4月5・12日号より
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