ジャパンカップで起きた事故でますます世界から敬遠される日本競馬界
日本の馬場が硬いとされる理由には、雨が多い気候を考え、水はけを良くするために路盤整備がしっかりとされていることがあげられる。 一方、凱旋門賞の行われるフランスのロンシャン競馬場は、最大で10メートルの勾配差があるように、自然環境を生かしたコース作りがされている。 そこに生える芝もまた、日本は根がしっかりとした野芝(一部の競馬場では洋芝)なのに対し、ロンシャン競馬場では細かい根の洋芝。このクッションの差が、日本の馬場が硬いとされる理由でもある。 もちろん、クッションの利いた芝でさえ、不慮の事故は起こることはある。ただ、近年、ジャパンカップに出走してきた外国馬が、日本の硬い馬場で苦戦をしているのと同様に、日本馬がクッションの効いた馬場で行われる凱旋門賞でまだ勝ち鞍をあげられないのは、馬場の違いが馬の能力をがらりと変えてしまう証明とも言えそうだ。 今年、ジャパンカップに参戦してきた外国馬は3頭。国際招待競走としては、あまりにも寂しい数字である。 これには様々な要因がある。世界最大のサラブレッド生産国であるアメリカのトップホースたちは、「競馬の祭典」とも言われるブリーダーズカップへの出走を優先。また近代競馬発祥の地であるイギリスを含めたヨーロッパのトップホースたちは、同様にヨーロッパの最高峰のGIレースである凱旋門賞を目指して行く。日程的にはジャパンカップへの参戦は可能であり、過去にもブリーダーズカップの出走馬、そして凱旋門賞の勝ち馬もジャパンカップに出走してきていたたが、近年、こうした各国のトップホースが出走してこなくなったのは、経験したことのない硬い馬場での競馬、そして日本産馬のレベルアップにある。 創設からの10年は外国馬8勝と、力の違いを見せつけられていた日本馬ではあったが、ここ10年では9頭が勝利しており、しかも2005年のアルカセット以来、外国馬の優勝は無い。自国のビッグレースを制した勢いで出走して、勝てるようなレベルのレースではなく、またブリーダーズカップや凱旋門賞をパス、あるいはステップレースに使ってまで、勝ちに行くレースでもないのが実情なのだ。 ジャパンカップは国内で最高額の賞金(今年は1着賞金が2億5千万円)が設定されているレースであり、来年度からは1着賞金が3億円に上がる。 それでもジャパンカップを勝ちに行く外国馬はそれほど増えないだろう。それは馬場適性だけでなく、近年の日本馬が強くなったことの証明でもあるのだが……