欧州挑戦の毎熊晟矢に求められる課題克服 森保監督の要求に応え“C大阪の系譜”を継ぐ大物へ【コラム】
香川、乾、清武、南野の系譜を継ぐ毎熊 W杯出場へ正念場
今回の6月シリーズのように、3バックと4バックを可変させていく戦い方は最終予選以降のスタンダードになりそうで、毎熊には各ポジションでハイレベルの適応力が求められる。それを磨く意味でも、日本とは異なるサッカー観や戦術の中に身を投じ、自分自身に磨きをかけた方がいいのは確か。新天地に赴けば、試合にコンスタントに出られる保証はないが、リスク承知でチャレンジするしかないのだ。 異国での挑戦と最終予選のスタートが重なるのは本人にとっても大変だろうが、そこで結果を出してこそ、代表定着が叶う。前回の2022年カタールW杯最終予選の時も似たような状況だった田中碧(デュッセルドルフ)や三笘薫(ブライトン)が代表主力の座を奪取。本大会切符獲得に原動力になっている。 ある意味、この夏から秋にかけてが、毎熊のキャリアを大きく左右するタイミングだと言っても過言ではないだろう。だからこそ、しっかりとした歩みを見せてほしいものである。 メディカルチェックが終われば、正式契約が近日中に発表されるはず。新シーズンに向けた始動時から新たなクラブに参加できるというのは大きい。最初からしっかりと適応し、キャンプでいいアピールをして、指揮官やチームメートの信頼を勝ち取ること。そこに集中してもらいたい。 セレッソからは過去にも香川真司、乾貴士(清水)、清武弘嗣、南野拓実(モナコ)らが欧州へ赴き、成果を残している。その系譜を継ぐべく、毎熊には大きな飛躍と代表定着、2026年W杯出場を勝ち取ってもらいたい。 [著者プロフィール] 元川悦子(もとかわ・えつこ)/1967年、長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに転身。サッカーの取材を始める。日本代表は97年から本格的に追い始め、練習は非公開でも通って選手のコメントを取り、アウェー戦もほぼ現地取材。ワールドカップは94年アメリカ大会から8回連続で現地へ赴いた。近年はほかのスポーツや経済界などで活躍する人物のドキュメンタリー取材も手掛ける。著書に「僕らがサッカーボーイズだった頃1~4」(カンゼン)など。
元川悦子 / Etsuko Motokawa