競歩の日本記録保持者・高橋英輝が現役引退、今後は地元・岩手で教員に/陸上
陸上男子で1万メートル競歩と10キロ競歩の日本記録保持者である高橋英輝(31)=富士通=が21日、所属先のホームページで現役を引退することを発表した。また、20日付で同社も退社。今後は、出身地の岩手県で教員として新たな一歩を踏み出す。 「世界で戦う先輩や同期、後輩の選手たちと共に過ごし支え合い、練習やレースで競い合えたこと、異なる種目のチームメイトとも関わり、刺激を受けることの出来る環境にいられたことは、とても幸せな経験でした。10年目のシーズンをこのチームで迎えることができ、職場の方々やチーム関係者の皆さん、苦しい時に支えてくれた信頼できる仲間と呼べる人たちがたくさんできました。思い出がたくさん詰まったチームを離れるのはとても寂しく、躊躇する気持ちもありましたが、これから自分自身が新しい場所で成長するために、周囲の方々と相談し、次の一歩を踏み出すことを決めました」 富士通に入社した2015年に世界選手権(北京)に初出場。そこから23年のブダペスト大会まで5大会連続で五輪に出場した。五輪は、16年リオデジャネイロ大会、21年東京大会と連続で出場。3大会連続での代表入りを目指したが、選考大会だった今年の日本選手権は途中棄権となり、代表入りを逃した。この大会が一つのターニングポイントとなり、引退を決意。「今年に入り自分自身のパフォーマンスのベースが下がってきたことも実感していました。パリ2024オリンピックの選考会となった日本選手権競歩大会でゴールすることができずに挑戦を終えたとき、次の目標に向けて最初の一歩を踏み出したいという気持ちが強く心に浮かびました」と明かした。 リリースでは、31歳まで続けた陸上競技、そして競歩への熱い思いと、周囲へのサポートを高橋の言葉で綴った。 「シーズン途中での引退となり、これまでお世話になってきた方々に直接ご報告する機会が持てないことは心残りですが、次に皆様にお会いできた時には、これまで鍛えてきた自分なりの『歩型』で、未来に向けて歩みを進めている姿をお見せできるよう頑張りたいと思っています。そしてゆくゆくは、自分にとって大切な存在となった陸上競技・競歩に関わり、次の世代の選手たちに、これまで自分がしてもらってきたことを返していければと考えています。10年間温かいご声援とサポートをくださりありがとうございました」 今夏のパリ五輪は、同じ岩手・花巻北高卒の高橋和生(28)=ADワークスグループ=が男女混合競歩リレーで代表入り。2人のように、世界で活躍する未来のオリンピアンの育成にも力を注いでいく。