市内で初の「緊急代執行」 崩壊が進み生活道路の一部ふさぐ「特定空き家」を解体 所有者とは近年は連絡つかず 島根県松江市
松江市が11日、空き家対策特別措置法に基づく行政代執行で、倒壊の恐れがある同市美保関町内の「特定空き家」の解体を始めた。空き家は崩壊が進み、生活道路の一部をふさいでいることから市は撤去命令と措置期限を省略した「緊急代執行」として実施した。 【写真】崩壊した特定空き家の解体を進める作業員(松江市美保関町)
市内での空き家撤去の代執行は2020年に続いて2例目で、緊急代執行は初めてとなる。 今回撤去するのは同町七類の惣津地区にある木造2階建て、延べ床面積約59・59平方メートルの民家。建築年次は不明で、16年ごろに発生した火災で2階部分が焼失し、一階部分も崩壊が進んでいた。 市は18年に特定空き家に認定し、所有者に文書などで複数回の撤去勧告を行ったが、近年は連絡がつかなくなっていた。崩れた屋根や柱が隣接している幅約1メートルの生活道路をふさいでおり、今年9月に地元自治会が市に通報した。 11日朝、市住宅政策課の江藤浩二課長が執行を宣言。解体は12月上旬に完了する見通しで、約500万円の解体費は全額を所有者に請求する。江藤課長は「市民生活に支障が出ており、所有者に代わって対応せざるを得ない状況と判断した」と話した。 同課によると、市内にはほかに解体に着手していない特定空き家が7戸ある。