WBCで侍ジャパンは勝てるのか。今なお不透明なチーム方針
そして里崎氏が指摘するように左の先発が不足だ。 強化試合では、石田健大(横浜DeNA)、田口麗斗(巨人)が出場したが、石田も田口も、WBC球に対応ができたとは言えず、田口はオランダ戦で被弾、暴投も2つするなどした。本来ならば、経験豊富な昨年の最多勝左腕、和田毅(ソフトバンク)を召集したいが、左肘に不安を抱えているため難しい。メジャー挑戦を直訴した西武の菊池雄星も有力候補だが、参加に消極的なような話も伝わっていて、そうなると浮上するのは、大野雄大(中日)と岩貞祐太(阪神)の2人。だが、共に国際経験不足だ。 また肝心のストッパーも決まっていない。一縷の望みをかけていたカブスの上原浩治は辞退を明らかにした。強化試合では山崎康晃(横浜DeNA)が呼ばれたが安定感に欠いた。ロースターに名前のある澤村拓一(巨人)、松井裕樹(楽天)、中崎翔太(広島)の3人に関しては、澤村、松井は、ムラが大きいために怖い。昨季のレギュラーシーズンの内容で言えば中崎だろうが、中崎も国際経験が足りず、ボールへの適応も含めてぶっつけ本番となる。そう考えると、強化試合で、国際試合で通用することをアピールして選出された変則の秋吉亮(ヤクルト)が有力候補かもしれない。 里崎氏は、「僕なら則本をストッパーで使います。プレミア12では準備不足で失敗しましたが、球威、制球、三振を取れることなどを考えると適性でしょう」という意見。小久保監督も悩ましい問題だろう。 さらに「まだ不透明な部分が残っている」と里崎氏は言う。 「大谷の起用法についても、投手専任か、DHとの二刀流で起用するのかが決まっていません。もし大谷をDHとの二刀流で起用するなら、DH候補の選手が重なりますね。いろんなオプションが増えることは必要だと思いますが、外野にしても、青木にはひとつポジションを任せるでしょうから、筒香、鈴木誠也、秋山、内川をどう使うのか」 投手陣に比べて打線に関してはタレントが揃っている。しかし、DHを誰にするのかは迷う点。守備力を考えると、筒香嘉智(横浜DeNA)は、DHにスタンバイさせておきたいが、大谷をDHで使うとなると、レフト・筒香、センター・青木の布陣が有力となり、外野の守備力は、かなり落ちる。 強化試合では山田哲人(ヤクルト)を三塁で起用して、菊池涼介(広島)を二塁起用するなどのオプションも試した。短期決戦だけに、ベンチワーク、好不調の見極めが勝敗を左右することになるだろう。果たして監督経験が侍ジャパンでしかない小久保監督で大丈夫だろうか? いずれにしろ1次ラウンドでは、キューバ、オーストラリア、中国の3か国中、2か国に勝つことが必須で、2次ラウンドでは、プールAを勝ち上がってくる、と考えられる韓国、オランダ、或いは、韓国、台湾、そしてプールBを共に抜け出るであろうキューバの3か国のうち単純に考えて2か国に勝たねば準決勝進出は難しくなる。オランダも前大会で快進撃、強化試合を見ても打線は強力で決して侮れない。 アメリカ、ドミニカなどのメジャーリーガーの参加情報に振り回される前に、まずは、日本脱出の戦いに集中しなければならないだろう。そう考えると新ルールによるメジャーリーガー投手の参戦議論は二の次だ。