WBCで侍ジャパンは勝てるのか。今なお不透明なチーム方針
いよいよ野球ファンにとって待望のWBCイヤーが幕を開けた。すでにスケジュールは発表されており、日本は、3月7日に東京ドームで行われる1次ラウンドの初戦でキューバと対戦、中国、オーストラリアと戦いプールBで2位以上になれば2次ラウンドへ進み、さらにここを勝ち抜けば準決勝からアメリカに渡る。決勝は3月22日にドジャースタジアムで行われる。 すでに昨年、先行メンバーの18人が発表された。メジャーリーガー、青木宣親の参加も決まり、野手のメンバーはほぼ固まったが、肝心の投手陣の陣容は、正式発表を待たねば見えてこない。チームは昨年11月に4試合の強化試合を行ったが、不安ばかりを露呈した。2大会ぶりの世界一奪回への青写真は不透明のままだ。 第一回WBCで優勝を経験した元千葉ロッテの里崎智也氏も問題点を指摘する。 「WBCを勝つのは投手力がポイントです。打ち勝つのはなかなか難しい。その投手陣のメンバーがわからないので、まだ予想のしようがありません。不透明です。とくにダブル先発でいくのか、中継ぎを重視でいくのか、ストッパーが誰になるのかもわかりません。極端な話、ダブル先発を考えているならば、先発が6人必要です。その場合は、7、8回までは任せることができるので、中継ぎは、すでに発表された今のメンバーで十分です。西武の牧田は第2の先発としてカウントしてもいいのかもしれません。 しかし、左投手は、中継ぎの宮西の一人だけ。昨年の強化試合では、先発として巨人の田口、横浜DeNAの石田を選んでいましたが、正式メンバーには誰を呼ぶのでしょう。絶対的に左投手が足りません。優勝したときは、杉内、和田と、左腕2人が有効でした。またWBC球への対応も問題です。強化試合では明らかに対応できていない投手がいました。菅野は大丈夫なのでしょうか。大谷にしてもそうです。一昨年のプレミア12では、WBC球が使われていなかったので参考にならないんです」 先行発表された投手は、増井浩俊(日本ハム)、宮西尚生(日本ハム) 、大谷翔平(日本ハム)、 牧田和久(西武)、則本昂大(楽天)、 菅野智之(巨人)、秋吉亮(ヤクルト)の7人。このうち先発起用が確実なのは大谷、菅野の2人。おそらく投手陣は、13、14人になると考えられているため、召集は残り6人、7人になるが、小久保監督がダブル先発システムを採用するならば、そのうち4人は先発候補の招集が必要になる。 ただ今回は、メジャーリーガーの参加を可能にするため、大会途中での入れ替えが可能な予備投手枠が28人の登録以外に10人プラスで設けられる方向。1次ラウンド、2次ラウンドの終了時点で、その10人の枠から、それぞれ2人までの投手入れ替えが可能なルールに変更されるようで、そうなるとヤンキースの田中将大らメジャーリーガーに加え、制限人数ぎりぎりまで投手陣が登録されることになるだろう。 それでも、1次、2次ラウンドは“国産”で戦わねばならない。先発候補を昨秋の強化試合などから判断すると、武田翔太(ソフトバンク)、千賀滉大(ソフトバンク)、野村祐輔(広島)、石川歩(ロッテ)、藤浪晋太郎(阪神)、有原航平(日ハム)、経験を買って涌井秀章(ロッテ)あたりの名前が挙がってくる。 強化試合で投手陣は、4試合で防御率5.92、42安打29失点と崩れ、千賀は不慣れなWBC球で武器であるフォークがコントロールできず、石川、藤浪もWBC球に苦しんだ。過去には、WBC球を操れなかった岸孝之(当時西武)を直前にメンバーから外した例もあり、人選は容易ではないだろう。