インフルエンサーマーケティングの凄いマーケティング効果
2022年11月、内閣主導で「スタートアップ育成5か年計画」が発表された。2027年をめどにスタートアップに対する投資額を10兆円に増やし、将来的にはスタートアップの数を現在の10倍にしようという野心的な計画だ。新たな産業をスタートアップが作っていくことへの期待が感じられる。このようにスタートアップへの注目が高まる中、『起業の科学』『起業大全』の著者・田所雅之氏の最新刊『「起業参謀」の戦略書ーースタートアップを成功に導く「5つの眼」と23のフレームワーク』が発売に。優れたスタートアップには、優れた起業家に加えて、それを脇で支える参謀人材(起業参謀)の存在が光っている。本連載では、スタートアップ成長のキーマンと言える起業参謀に必要な「マインド・思考・スキル・フレームワーク」について解説していく。 【この記事の画像を見る】 ● インフルエンサーマーケティングの 費用対効果は650% アーンドメディアとシェアドメディアをつないでいるインフルエンサーマーケティングとは、Twitter(現X)、Facebook、YouTube、Instagramなど、SNS上で大きな影響力を持つインフルエンサー(オピニオンリーダー)と協力して行うマーケティングプロモーション手法のことで、最近、注目されている。 Harvard Business ReviewによるとインフルエンサーマーケティングのROI(Return on Investment:費用対効果)は、実に650%。 他のマーケティングに比べても極めて高い結果が出ている。こちらは『起業大全』240ページのPR(Public Relationship)のところで詳しく解説しているので、そちらを参照いただきたい。 お金を支払って依頼する場合もあるが、インフルエンサー自らが知って使っておすすめしてくれるというのが理想形だ。 インフルエンサーの中でも、ある特定領域において豊富な知見と情報量で影響力のあるマイクロインフルエンサーと呼ばれる人がいる。彼らにフォーカスして勝手に広めてもらうよう何ができるか考えたい。 マイクロインフルエンサーのフォロワー数は、1万からせいぜい数万程度。インフルエンサーよりもはるかに少ないが、そこがいいのだ。 なぜなら、インフルエンサーは「憧れの対象」だが、マイクロインフルエンサーは「共感、信頼できる対象」になるからだ(上図)。 (※本稿は『「起業参謀」の戦略書ーースタートアップを成功に導く「5つの眼」と23のフレームワーク』の一部を抜粋・編集したものです) 田所雅之(たどころ・まさゆき) 株式会社ユニコーンファーム代表取締役CEO 1978年生まれ。大学を卒業後、外資系のコンサルティングファームに入社し、経営戦略コンサルティングなどに従事。独立後は、日本で企業向け研修会社と経営コンサルティング会社、エドテック(教育技術)のスタートアップなど3社、米国でECプラットフォームのスタートアップを起業し、シリコンバレーで活動。帰国後、米国シリコンバレーのベンチャーキャピタルのベンチャーパートナーを務めた。また、欧州最大級のスタートアップイベントのアジア版、Pioneers Asiaなどで、スライド資料やプレゼンなどを基に世界各地のスタートアップの評価を行う。これまで日本とシリコンバレーのスタートアップ数十社の戦略アドバイザーやボードメンバーを務めてきた。2017年スタートアップ支援会社ユニコーンファームを設立、代表取締役CEOに就任。2017年、それまでの経験を生かして作成したスライド集『Startup Science2017』は全世界で約5万回シェアという大きな反響を呼んだ。2022年よりブルー・マーリン・パートナーズの社外取締役を務める。 主な著書に『起業の科学』『入門 起業の科学』(以上、日経BP)、『起業大全』(ダイヤモンド社)、『御社の新規事業はなぜ失敗するのか?』(光文社新書)、『超入門 ストーリーでわかる「起業の科学」』(朝日新聞出版)などがある。
田所雅之